東京為替見通し=ドル円は買い材料多い中で本邦CPIに注目、G7はランドに波乱要因か
海外市場では、5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったことをきっかけに、全般ドル買いが活発化した。ドル円は一時138.75円と昨年11月30日以来の高値を更新した。ユーロドルは1.0763ドルと3月27日以来の安値を付けた。
本日のドル円も引き続き底堅い動きが期待されるが。しかし、連日上げ幅が急速に拡大していることや、週末を前にしたポジション調整の動きには警戒したい。
昨日のCME225先物は30905円で引け、大阪取引所の前日18日引け値よりも315円上昇して引けている。本日も日経平均が同水準よりも上回った場合は、リスク志向の高まりでドル円は堅調な動きを見せそうだ。
米国の債務上限問題については、昨日も多くの米議員が発言しているが、最重要人物であるマッカーシー下院議長(共和党)が「1週間前にいた場所より、今日いる場所は、はるかに良い場所だと信じている」「下院は来週にも債務上限合意について採決する可能性がある」と発言するなど、問題解決が近づいていることもドルの支えとなる。
また、年後半の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想が低下していることも、ドル円の支えになる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月の利下げ予想が一昨日の約46%から28%弱まで低下している。
多くの要因でドルが買われやすい状況ではあるが、本日は本邦の4月全国消費者物価指数(CPI)が発表されることで、CPIが市場予想(生鮮食品を除く総合予想は前年比+3.4%、生鮮食料品・エネルギー除く予想は前年比+4.2%)を上回れば、円買いに傾く場面もみられるか。市場は反応していないが、15日に行われた政府の経済財政諮問会議では、日銀の金融緩和の再考を促している。電気料金が大幅に上昇することも決定した中でインフレ率が高まれば、日銀の異次元緩和の傾向が変わる可能性もあり、CPIの結果には要注目となる。
本日から始まる広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、主要通貨が動意づくのは難しいか。しかしながら、本日からウクライナ情勢について話し合いがもたれ、21日はゼレンスキー・ウクライナ大統領もオンラインで参加することもあり、ロシア情勢についての進展には要警戒となる。17日に発表された1-3月期のロシアGDP速報値は-1.9%となり、市場予想の-2.1%や前期の-2.7%よりも減少幅が縮小している。対ロ制裁の抜け穴が大きいことで、制裁の効果が出ていないのが実情だ。
この中で、ロシアや同国企業に関与した第三国に対する制裁導入が決定した場合は、南ア・ランドなどに大きな影響を与えるだろう。先週、駐南ア米国大使が「南アがロシアへ武器供与をしている」と非難し、ランドは対ドルでは最安値を更新した。週末には米国大使が謝罪したことで、いったんはこの問題は収まっているが、根本的な問題は解決されていない。ほぼすべての通貨で円安が進行している中で、ランド円のみ横ばいで動いていることを見ても、南アがG7各国から制裁を受け、経済がさらに落ち込むことについて市場も警戒しているともいえる。もし、第三国への制裁が決定した場合は、ランド相場の動きにも注目しておきたい。
(松井)
本日のドル円も引き続き底堅い動きが期待されるが。しかし、連日上げ幅が急速に拡大していることや、週末を前にしたポジション調整の動きには警戒したい。
昨日のCME225先物は30905円で引け、大阪取引所の前日18日引け値よりも315円上昇して引けている。本日も日経平均が同水準よりも上回った場合は、リスク志向の高まりでドル円は堅調な動きを見せそうだ。
米国の債務上限問題については、昨日も多くの米議員が発言しているが、最重要人物であるマッカーシー下院議長(共和党)が「1週間前にいた場所より、今日いる場所は、はるかに良い場所だと信じている」「下院は来週にも債務上限合意について採決する可能性がある」と発言するなど、問題解決が近づいていることもドルの支えとなる。
また、年後半の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想が低下していることも、ドル円の支えになる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月の利下げ予想が一昨日の約46%から28%弱まで低下している。
多くの要因でドルが買われやすい状況ではあるが、本日は本邦の4月全国消費者物価指数(CPI)が発表されることで、CPIが市場予想(生鮮食品を除く総合予想は前年比+3.4%、生鮮食料品・エネルギー除く予想は前年比+4.2%)を上回れば、円買いに傾く場面もみられるか。市場は反応していないが、15日に行われた政府の経済財政諮問会議では、日銀の金融緩和の再考を促している。電気料金が大幅に上昇することも決定した中でインフレ率が高まれば、日銀の異次元緩和の傾向が変わる可能性もあり、CPIの結果には要注目となる。
本日から始まる広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、主要通貨が動意づくのは難しいか。しかしながら、本日からウクライナ情勢について話し合いがもたれ、21日はゼレンスキー・ウクライナ大統領もオンラインで参加することもあり、ロシア情勢についての進展には要警戒となる。17日に発表された1-3月期のロシアGDP速報値は-1.9%となり、市場予想の-2.1%や前期の-2.7%よりも減少幅が縮小している。対ロ制裁の抜け穴が大きいことで、制裁の効果が出ていないのが実情だ。
この中で、ロシアや同国企業に関与した第三国に対する制裁導入が決定した場合は、南ア・ランドなどに大きな影響を与えるだろう。先週、駐南ア米国大使が「南アがロシアへ武器供与をしている」と非難し、ランドは対ドルでは最安値を更新した。週末には米国大使が謝罪したことで、いったんはこの問題は収まっているが、根本的な問題は解決されていない。ほぼすべての通貨で円安が進行している中で、ランド円のみ横ばいで動いていることを見ても、南アがG7各国から制裁を受け、経済がさらに落ち込むことについて市場も警戒しているともいえる。もし、第三国への制裁が決定した場合は、ランド相場の動きにも注目しておきたい。
(松井)