東京為替見通し=ドル円は底堅さ維持も、16日の米債務上限協議控え動きにくいか

 海外市場ではドル円は、5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が市場予想を大幅に下回ったことで、135.71円付近まで値を下げた。しかし、米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが出ると136.20円付近まで持ち直した。ユーロドルは1.08ドル後半でもみ合いとなった。

 本日のドル円は堅調地合いを維持できるだろうが、大きくレンジを広げるのは難しそうだ。先週発表された米国の4月消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)、そして昨日発表された5月NY連銀製造業景気指数など、米国の弱い経済指標でドル売りに市場は反応したものの、下げ幅が徐々に限られてきている。市場のドル買い意欲が依然として根強いこともあり、当面は大きくドルが崩れるには時間を要し、底堅さは維持できるのではないかと思われる。

 もっとも、東京市場で値動きが限られるのは、本日16日にバイデン米大統領とマッカーシー下院議長(共和党)を中心に、議会指導部が債務上限引き上げ問題について会談を開くことで、この結果を見極めるまでは動きにくいことだ。この問題についての解決の糸口が見えない場合は、バイデン米大統領はサミットに不参加の可能性も示唆していたが、サミットの不参加は回避され、18日には広島に到着し、同日に岸田首相と会談をするスケジュールを発表している。バイデン米大統領は昨日も上限問題については「楽観的」との姿勢を見せているが、一方のマッカーシー下院議長は「進展はない」とも述べていることで、明日の会談までは動きにくいだろう。
 なお、上述の日米会談だけでなく、韓国の尹大統領を含め日米韓の3カ国首脳会談も行われる予定。この会談では、3カ国による安全保障協力強化のために「共同訓練の拡大を目指す」と米政権関係者が早朝に発表していることで、北朝鮮による挑発的な行動の可能性があることにも注意を払っておきたい。

 なお、アジア時間には本邦からは主だった経済指標等のイベントは予定されていないが、本日は5月2日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公開される。この理事会ではサプライズとなる利上げを実施したこともあり、RBA声明文で表されたものよりもインフレへの警戒感が強かった場合には豪ドルが動く可能性もあり、警戒しておきたい。


(松井)
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