東京為替見通し=ドル円、昨年10月から今年1月の半値を巡る攻防か

 昨日の海外市場ではドル円は上げ幅を拡大。米連邦準備理事会(FRB)高官のタカ派発言を受けて米長期金利が上昇すると、引けにかけて139.48円と約半年ぶりの高値をこの日も更新した。米金利高が重しとなりユーロドルは1.08ドル前後から1.0750ドル割れまで下落した。ユーロ円はドル円の影響を受けて150円手前まで上昇した。

 本日の東京為替市場でドル円はこのところの地合いの強さが継続しそう。ただし、昨年10月高値151.95円から今年1月安値127.23円まで下落した幅の半値戻し139.59円付近はテクニカル面で意識されると予想され、同水準を巡る攻防が注目される。

 懸案の米債務上限問題については、バイデン大統領と共和党マッカーシー下院議長の双方ともにデフォルト(債務不履行)は回避されるとの見方を示し続けている。一方で交渉官レベルでは、与野党間の溝はまだ深いとの声も聞かれており、依然として予断は許されないようだ。イエレン米財務長官は昨日も、政府の資金繰りについて「6月上旬を越えられない」との見方を強調した。

 なお朝方には、債務問題を懸念した格付け会社フィッチが米格付けを「レーティングウォッチネガティブ」に指定し、50銭ほど値を下げる場面があった。

 ここにきて急速に強まっている米金利先高観は、本日もドルの下値を限定させるか。パウエル米FRB議長が6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ休止に傾く発言をしているにもかかわらず、昨日はウォラーFRB理事が次回も追加利上げとなる経済データが出る可能性を示唆した。

 CMEのフェドウォッチ(FedWatch)による6月14日0.25ポイント利上げ確率は一時20%を割り込んでいたところから33%前後まで上昇してきた。また、7月FOMCについては今月初めに利下げを見込んでいたところから、据え置き4割/利上げが6割の織り込み度合いとなっている。日銀の超金融緩和の継続は既定路線となっていることから、日米金利差拡大を背景としたドル買いは続きそうだ。

 その他、昨日大きく値を下げたNZドルの動向も注視したい。ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は24日、予想通りに0.25ポイント利上げを決定したものの、政策金利がピークに達したことを示唆。オアRBNZ総裁は本日早朝にも「経済成長もインフレも予想より弱い」と述べており、金利先安観は強まったままだ。


(小針)
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