NY株見通し-ADP民間部門雇用者数などの経済指標や要人発言に注目

 今晩のNY市場は経済指標や要人発言に注目。昨日は米債務上限引き上げ法案の採決を控えた様子見姿勢が強まる中、エヌビディアなどのハイテク株を中心に月末の利益確定売りが強まり、主要3指数がそろって下落した。中国の経済指標が悪化したことや、4月JOLTS求人件数が予想を上回る強い結果となり利上げの長期化見通しが強まったことも重しとなったが、ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事やハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りを支持すると発言し、利上げのスキップ期待が高まったことが下値の支援となった。5月月間では、ダウ平均が3.49%安と3カ月ぶりに反落した一方、S&P500が0.25%高と3カ月続伸し、ナスダック総合は5.80%高と大幅に3カ月続伸した。ナスダック総合はダウ平均に対して、ドットコム・バブル期の2001年10月以来の大幅アウトパフォームとなった。引け後の動きでは、米下院で債務上限の効力を2025年1月まで停止する「財政責任法案」が可決し、6月5日までに上院を通過すれば、イエレン米財務長官長が警告する米国のデフォルトが回避されることになる。

 6月初日の取引となる今晩は経済指標や要人発言に注目する展開か。米国のデフォルト懸念が後退すれば、6月FOMCでの利上げの有無など金融政策の見通しが焦点となることが予想され、寄り前に発表される米国の5月ADP民間部門雇用者数や週間新規失業保険申請件数、寄り後発表の5月ISM製造業購買担当者景気指数(PMI)などが注目される。週末2日の5月雇用統計の前哨戦となるADP民間部門雇用者数は4月の29.6万人増から5月は17.0万人増へと増加幅の減少が見込まれており、予想通り弱い結果となれば、利上げ見送り期待を高めそうだ。

 今晩の米経済指標・イベントは5月ADP民間部門雇用者数、新規失業保険申請件数、5月ISM製造業PMIのほか、5月S&Pグローバル 製造業PMI確定値、4月建設支出など。 要人発言は、昨日に6月FOMCでの利上げ見送りを支持すると発言したハーカー米フィラデルフィア連銀総裁の講演が予定されている。企業決算は寄り前にダラー・ゼネラル、ホーメル・フーズ、引け後にブロードコム、クーパー・コンパニスなどが発表予定。(執筆:6月1日、14:00)
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