株式明日の戦略-33500円もあっさり突破、市場は早期の解散総選挙を意識

 14日の日経平均は大幅に4日続伸。終値は483円高の33502円。米国株が5月消費者物価指数の結果を好感して上昇したことを受けて、寄り付きから300円を超える上昇。開始直後に上を試しに行ったが、33500円を前にしては押し戻され、前場は大幅高ではあったものの、不安定な動きが続いた。しかし、後場に入ると改めて買いの勢いが強まり、13時台には33500円を突破。そこから33600円台に乗せて、上げ幅を600円超に広げた。終盤にかけては値を消す動きも見られたが、終値では33500円を上回った。米国の長期金利が大きく上昇したことでグロース株が敬遠されており、マザーズ指数は開始早々に下げに転じると、以降はマイナス圏が定着。終値で800ポイントを下回った。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆7500億円と、強い上昇となる中で商いも膨らんだ。業種別では輸送用機器、鉄鋼、非鉄金属などが大幅上昇。医薬品と電気・ガスの2業種が下落しており、その他製品の上昇が限定的となった。3Qが大幅な増収増益となったビジョナル<4194.T>が大幅上昇。半面、上期が減益着地となった神戸物産<3038.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1195/値下がり579。トヨタとソフトバンクが連日で大幅高となっており、そろって年初来高値を更新。米キャタピラーの大幅高を受けて、コマツや日立建機が買いを集めた。三菱商事や三井物産など商社株が大幅上昇。鉄鋼株買いが盛り上がっており、JFEHDや神戸鋼が急伸した。NATOが日韓豪NZとサイバーセキュリティ分野などで新たな協力計画をつくると報じられたことを手がかりに、FFRIセキュリティが人気化。東証が監理銘柄(確認中)の指定を解除したビジョナリーが値を飛ばした。

 半面、半導体関連がひと休みといった動きで、レーザーテック、ソシオネクスト、アドバンテストが下落。エーザイが4.1%安と大きな下げとなった。カバーやAIinsideなどグロース系の主力銘柄の一角が大幅安。Macbeeは好決算を発表したものの、事前に観測報道で買われていたことから、決算を受けた株価の反応は売りとなった。丹青社やヤーマンが決算を受けて大幅安。3Q決算が失望を誘ったリッジアイが一時ストップ安となるなど急落した。

 本日、グロースに新規上場したGlobee(グロービー)は、高い初値をつけたものの、終値は初値を下回った。上場2日目で高い初値をつけたABEJA(アベジャ)は、そこから乱高下したものの、終値は初値を上回った。

 日経平均は大幅高。前場では33500円に届かず、早いうちに頭打ちとなっていたが、後場に入って節目を超えてきた。きのうも後場の動きが良かったが、後場が強いと海外投資家の買いが意識されることから、投資家のセンチメントが強気に傾きやすい。売買代金も高水準となっており、買いが買いを呼ぶ良い流れとなっている。

 米国では本日、FOMCの結果が公表される。今回は利上げをスキップするも、次回は利上げの可能性が高いというのが大方の見方。声明文やFOMCメンバーの金利見通し、パウエル議長の会見のトーンなどが注目されるが、今回は何が出てくるかについての織り込みが進んでおり、波乱の可能性は低い。次回会合で利上げがあるかどうかはデータ次第となるだろうが、13日に発表された5月CPIは、さらなる利上げの必要性を感じさせるような結果にはならなかった。米国株はFOMCの前に強い動きが見られたが、FOMCを通過してもトレンドが大きく変わることはないとみる。

 国内では、内閣不信任決議案が16日に提出された場合に、岸田首相がその日のうちに解散を表明することを検討していると、一部メディアが報じている。16日は日銀金融政策決定会合の結果発表日でもあり、慌ただしい日になりそう。FOMCも非常に重要なイベントではあるが、あすは序盤で米国株の反応を消化した後、市場の注目は早々に16日に向かうことになると思われる。「選挙は株高」のイメージが強いことから、本日の米国株の反応がポジティブであれば素直に買いが入るだろう。ネガティブであっても、一定の耐性を示すと予想する。
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