週間為替展望(ドル/ユーロ)-欧米のインフレ指標に注目
◆ドル円、米5月PCE総合価格指数に注目
◆日銀金融政策決定会合の主な意見や円買い介入の可能性にも注目
◆ユーロドル、ユーロ圏6月HICP速報値に注意
予想レンジ
ドル円 141.00-145.00円
ユーロドル 1.0700-1.1100ドル
6月26日週の展望
ドル円は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している5月のPCE総合価格指数を見極める展開となる。5月のPCE総合価格指数は、前年比4.4%と予想されており、4月の4.4%とほぼ同じ伸び率と見込まれている。予想通りだった場合は、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派的スキップ(利上げ見送り)のあと、7月FOMCではFF金利誘導目標の0.25%の引き上げ確率が高まることになるだろう。予想を大幅に下回るネガティブサプライズだった場合は、7月もタカ派的スキップ(見送り)、あるいはポーズ(休止)観測が高まることになりそうだ。
パウエルFRB議長は、議会証言で「FRB当局者は、インフレ抑制のために金融引き締めを続ける必要があるとの見解で一致している。今年あと2回の利上げが適切となるだろう」とタカ派的な見解を示したものの、政策決定には「データ次第である」ことも強調した。6月の消費者信頼感指数やシカゴ購買部協会景気指数などのデータにも注目が集まる。
また、日本サイドでは6月日銀金融政策決定会合での主な意見に注目している。植田日銀総裁が会合後の会見で「消費者物価の見通しが大きく変われば、政策変更につながる可能性がある」との見解を示していたこともあり、審議委員の見解を見極めたい。なお、円買い介入の可能性にも警戒しておきたい。昨年秋のドル売り・円買い介入は、ボラティリティーを抑制するために「ボリンジャーバンド+2σ付近」で断行されている。現在のドル円の水準が既にそのレベルに達していることから、介入の可能性が高まりつつあることも事実だ。
ユーロドルは、ユーロ圏のリセッション入りにも関わらず、7月27日の欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利上げが示唆されており、6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値に注意が必要だろう。4月は前年比7.0%、5月は6.1%と低下傾向にあるものの、ラガルドECB総裁は、インフレ抑制のために景気抑制的な水準までの追加利上げを示唆している。また、28日には、欧州の銀行は、ECBに貸出条件付き流動性供給オペ(TLTRO3)を通じて▲1.0%程度で借り入れていた5490億ユーロを返済しなければならないため、ユーロ圏の信用逼迫がスタグフレーションへの警戒感を高めることにも注意が必要だ。
6月19日週の回顧
ドル円は、パウエルFRB議長が議会証言で「インフレ抑制のために金融引き締めを続ける必要性」を改めて強調したことで、141.21円から143.41円まで上昇した。米10年債利回りは3.7%付近から3.8%台まで上昇した。
ユーロドルは、7月のECB理事会での追加利上げ観測と6月FOMCでのタカ派的スキップ(見送り)を受けて、1.0893ドルから1.1012ドルまで上昇した。ユーロ円も日欧の金融政策の方向性の違いを背景に、154.05円から156.93円まで上昇した。(了)
(小針)
◆日銀金融政策決定会合の主な意見や円買い介入の可能性にも注目
◆ユーロドル、ユーロ圏6月HICP速報値に注意
予想レンジ
ドル円 141.00-145.00円
ユーロドル 1.0700-1.1100ドル
6月26日週の展望
ドル円は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している5月のPCE総合価格指数を見極める展開となる。5月のPCE総合価格指数は、前年比4.4%と予想されており、4月の4.4%とほぼ同じ伸び率と見込まれている。予想通りだった場合は、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派的スキップ(利上げ見送り)のあと、7月FOMCではFF金利誘導目標の0.25%の引き上げ確率が高まることになるだろう。予想を大幅に下回るネガティブサプライズだった場合は、7月もタカ派的スキップ(見送り)、あるいはポーズ(休止)観測が高まることになりそうだ。
パウエルFRB議長は、議会証言で「FRB当局者は、インフレ抑制のために金融引き締めを続ける必要があるとの見解で一致している。今年あと2回の利上げが適切となるだろう」とタカ派的な見解を示したものの、政策決定には「データ次第である」ことも強調した。6月の消費者信頼感指数やシカゴ購買部協会景気指数などのデータにも注目が集まる。
また、日本サイドでは6月日銀金融政策決定会合での主な意見に注目している。植田日銀総裁が会合後の会見で「消費者物価の見通しが大きく変われば、政策変更につながる可能性がある」との見解を示していたこともあり、審議委員の見解を見極めたい。なお、円買い介入の可能性にも警戒しておきたい。昨年秋のドル売り・円買い介入は、ボラティリティーを抑制するために「ボリンジャーバンド+2σ付近」で断行されている。現在のドル円の水準が既にそのレベルに達していることから、介入の可能性が高まりつつあることも事実だ。
ユーロドルは、ユーロ圏のリセッション入りにも関わらず、7月27日の欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利上げが示唆されており、6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値に注意が必要だろう。4月は前年比7.0%、5月は6.1%と低下傾向にあるものの、ラガルドECB総裁は、インフレ抑制のために景気抑制的な水準までの追加利上げを示唆している。また、28日には、欧州の銀行は、ECBに貸出条件付き流動性供給オペ(TLTRO3)を通じて▲1.0%程度で借り入れていた5490億ユーロを返済しなければならないため、ユーロ圏の信用逼迫がスタグフレーションへの警戒感を高めることにも注意が必要だ。
6月19日週の回顧
ドル円は、パウエルFRB議長が議会証言で「インフレ抑制のために金融引き締めを続ける必要性」を改めて強調したことで、141.21円から143.41円まで上昇した。米10年債利回りは3.7%付近から3.8%台まで上昇した。
ユーロドルは、7月のECB理事会での追加利上げ観測と6月FOMCでのタカ派的スキップ(見送り)を受けて、1.0893ドルから1.1012ドルまで上昇した。ユーロ円も日欧の金融政策の方向性の違いを背景に、154.05円から156.93円まで上昇した。(了)
(小針)