週間為替展望(ドル/ユーロ)-米利上げ期待後退の影響注視

◆ドル円、6月会合での利上げ休止観測から上値は限定
◆ブラックアウト期間、米指標の発表も少なく材料に乏しい
◆ユーロドル、利上げ期待高まらず方向感出づらい

予想レンジ
ドル円   137.00-141.00円
ユーロドル 1.0450-1.0900ドル 

6月5日週の展望
 ドル円は、6月米連邦公開市場員会(FOMC)での利上げ観測が急速に後退したことで、上値の重い展開が想定される。今週半ばまでは市場の先物価格から算出される利上げ確率が7割程度まで上昇していたものの、投票メンバーであるジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事とハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が相次いで利上げ休止を支持したことをきっかけに一気に利上げ見送りの観測が高まった。さらには、Fedウォッチャーとして知られるWSJのニック・ティミラオス記者が「FRBは金曜日の雇用統計が突出したものでなければ、6月の利上げを見送り、利上げペースを減速させる計画を固めている」との記事を投稿したことが決定打となった。

 来週は6月5日に5月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数、6月8日に前週分の米新規失業保険申請件数と米重要指標の発表は少ない。また、6月13-14日に開催されるFOMCを前にしてブラックアウト期間に入るため、米当局者からの金融政策に関する発言も期待できない。米金融政策の決定を前に、足元で進んでいたドル高を調整する動きが出る可能性はありそうだ。ただ、あくまでも調整的な動きであり、円安・ドル高トレンドが大きく変わるとは考えづらい。6月会合で利上げを見送ったとしても、データ次第では7月にも利上げを再開する可能性もある。日銀が1年から1年半をかけて政策レビューを行うことを表明している以上、日米金融政策の方向性の違いを意識した流れは継続すると思われ、ドル円の下押しもそれほど深いものにはならないと予想している。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の利上げペースが鈍化するとの思惑から上値は引き続き重そうだが、米利上げ見送り観測も高まっている影響から下値も堅そうだ。ラガルドECB総裁は6月1日に行われた講演で「インフレは依然として高すぎる。これまでの利上げの効果が出ていることを示す材料が増えていることは認識しているが、利上げサイクルを継続する必要」との見解を示した。

5月29日週の回顧
 ドル円は、週明けは英米市場が休場だったこともあり140.50円を挟んで方向感を欠いた。翌30日には日経平均株価の上昇を支えにアジア時間に一時140.93円まで値を上げたが、「財務省・金融庁・日銀による3者会合開催」と報じられると警戒感から失速。米当局者のハト派発言で米長期金利が大幅に低下すると、6月1日には一時138.45円まで下げ幅を広げた。

 ユーロドルは下値が堅い。月末に絡んだユーロポンドなどの売りにつれた面もあり、一時1.0635ドルまで下げたが、米金利低下や欧米株高を支えに1.0768ドルまでショートカバーから買い戻されている。(了)
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