株式明日の戦略-引け味は良く週間ではプラス、来週は米雇用統計を前に一進一退か

 30日の日経平均は3日ぶり反落。終値は45円安の33189円。米国株はまちまちで終えたが、寄り付きは3桁の下落。ナスダック安を受けて半導体株が弱めに始まっており、この動きを嫌って開始早々に下げ幅を300円超に広げた。33000円を割り込んだところでは下げ渋ったが、戻しても33000円を超えてくると上値が重くなり、しばらくこう着相場が続いた。ただ、後場に入ると下押し圧力が和らぎ、下げ幅を縮小。終盤にはほぼ横ばいまで値を戻す場面もあった。結局、プラス圏には浮上できなかったものの、2桁の下落にとどまり、高値圏で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆7900億円。業種別では海運、鉄鋼、繊維などが上昇している一方、医薬品、陸運、卸売などが下落している。今期の大幅増益計画が好感されたフィードフォースグループ<7068.T>がストップ高。半面、今期の最終減益見通しが嫌気された銚子丸<3075.T>が大幅に下落した。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり655/値下がり1105。証券会社の目標株価引き上げがあった日本郵船など海運株やJTが上昇。決算が好感された高島屋が急伸し、同業の三越伊勢丹やH2Oリテイルが連れ高した。指数寄与度の高いファーストリテイリングとソフトバンクGがともに堅調に推移したほか、円安を受けてトヨタに買いが入った。ブリッジコンやアイデミーなど、直近上場株の一角が急騰。微生物化学研究会との共同研究契約を締結したと発表したティムスがストップ高となった。

 一方、米マイクロン株が決算を受けて売られたことを嫌気して、レーザーテックやソシオネクストなど半導体株が軟調。丸紅や三井物産などなど商社株の一角が弱かった。4-6月期が前年同期比で営業減益になったとの観測が報じられた野村総研が下落。西武HDや小田急など鉄道株が軒並み安となった。3Dマトリックスはファイナンスに関するリリースが失望材料となり、10.4%安と急落した。

 本日は3社が新規上場。スタンダード市場に新規上場したジーデップ・アドバンスは高い初値をつけた後、ストップ高まで買い進まれた。同じくスタンダード市場に上場したノバレーゼは公開価格割れからのスタートとなり、終値も初値を大きく下回った。グロース市場に新規上場したクラダシは、高い初値をつけたものの、終値は初値を下回った。

 日経平均は3日ぶり反落。ダウ平均の大幅高を好感できなかったが、きょうは月末だから下げたというよりは、米マイクロンの決算を前日に好材料として消化したことの反動が出たという印象が強い。特に後場はしっかりとした動きを見せた。ローソク足では陽線を形成しており、終値(33189円)では5日線(32970円、30日時点)や33000円を上回った。下げたからこそ買い意欲の強さが再確認できたような1日であった。

 2023年の前半が終了。上半期(1-6月)では日経平均が27.2%高、TOPIXが21.0%高、マザーズ指数が11.7%高となった。日経平均が3万円の節目を超えて33000円台後半まで上昇しており、日経平均のパフォーマンスの良さが目立った。この期間では、3指数ともに、大発会の1月4日に安値(終値ベース)をつけている。高値をつけたのは日経平均とTOPIXが6月16日で、マザーズ指数が6月21日となっている。

 業種別では全業種がプラス。商社株が属する卸売がバフェット氏の来日で注目を集めて38.7%高、以下、鉄鋼(+34.9%)、機械(+33.7%)、電気機器(+33.4%)、輸送用機器(+30.9%)と続く。主力ど真ん中の銘柄が属する業種が強かった。騰落下位業種は、水産・農林(+2.6%)、海運(+5.5%)、石油・石炭(+6.8%)、医薬品(+7.0%)、パルプ・紙(+7.4%)で、ディフェンシブ業種と市況関連が全体の上昇に対してやや見劣りした。


【来週の見通し】
 一進一退か。7月相場に突入し、金曜7月7日には米国の雇用統計が発表される。米国では製造業や雇用関連で注目度の高い経済指標がいくつか出てくるほか、5日には6月開催のFOMC議事録が公表される。米国の金融引き締め長期化に対する警戒がくすぶり続けると思われるだけに、上値追いには慎重になるとみる。4日の米国が休場で、7日の引け後には安川電機の1Q決算発表が予定されており、手がけづらさも意識される週となる。一方、日経平均は今週、週間では上昇し、一時32300円台まで下げたところから、週末値(33189円)では33000円を上回った。目先の底打ち感が出てきたことから、下値も堅いと考える。売り買いをこなしながら週後半にかけてはこう着感が強まり、現状の33000円近辺で値を固めていくと予想する。
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