株式明日の戦略-今週は負けなしの6日続伸、来週は米企業の決算に要注目

 14日の日経平均は大幅に6日続伸。終値は336円高の28493円。市場予想を下回った米3月PPIを好感して米国株が大幅高となったことを受けて、寄り付きから3桁の上昇。前場では高く始まった後も上を試す流れが続いた。好決算を発表したファーストリテイリング<9983.T>が大幅高となって上昇を先導。節目の28500円を上回る場面もあった。ただ、ファストリの貢献度がかなり大きく、他の主力銘柄には売られるものも散見された。後場は動意が乏しくなったが概ね高値圏を維持。28400円台でもみ合う時間が長く、300円を超える上昇で取引を終えた。ファストリは8.5%高で終了し、261円程度日経平均のプラスに寄与した。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆9300億円。業種別では卸売、小売、倉庫・運輸などが上昇している一方、海運、輸送用機器、保険などが下落している。3Qが大幅な営業増益となったSansan<4443.T>が急騰。半面、上期の利益は計画を超過したものの、1Q実績からは上振れ幅が物足りないと受け止められた東名<4439.T>がストップ安まで売り込まれた。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1234/値下がり519。ファストリの上昇がとにかく目立ったが、他では「バフェット銘柄」として商社株が賑わい、伊藤忠、丸紅、三井物産などが大幅高となった。決算が好感されたローソンが6.2%高。ブックオフやディスカウントストアを展開する大黒天物産など、生活防衛色の強い銘柄が決算を材料に急伸した。直近上場のアイスペースがストップ高。Abalanceが全市場の売買代金ランキングトップ10入りする大商いで上場来高値を更新した。後場に政府が核融合の開発戦略を正式に決定したと伝わったことから、関連銘柄として助川電気工業が急騰。東邦金属がストップ高となった。

 一方、日本郵船など海運大手3社がそろって下落。東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREENなど半導体株が軟調となった。ドル円がやや円高に振れたことからトヨタ、ホンダ、SUBARUなど自動車株が軒並み安。弱い米3月PPIを受けて米国の長期金利は上昇しづらくなるとの見方が強まり、三菱UFJ、第一生命、T&Dなど金融株が売りに押された。佐鳥電機、フィルカンパニー、PR TIMESなどが決算を材料に急落。下方修正を発表した津田駒工業がストップ安となった。

 本日、名証メイン市場に新規上場した日本システムバンクは、公開価格割れからのスタートとなり、終値は初値を下回った。

 日経平均は大幅高。ファストリ頼みの上昇と言ってしまえばそれまでだが、上昇週の週末を大幅高で締めくくることができたことはポジティブ。今月4日の高値28287円を難なく上回り、場中には28500円を上回る場面もあった。28000円近辺でもたつくことなく一段高となったことから、仮に反動安に見舞われたとしても、28000円や25日線(27690円、14日時点)近辺では押し目買いが入る可能性が高い。反動がない場合には、3月9日につけた28734.79円を早期に上回ることができるかが注目される。4月中に超えてくるようなら、GWの市場の空白はさほど警戒されなくなるだろう。それどころか、売り方の手じまいが急がれることで、GW前に踏み上げ的な上昇が続く展開にも期待が持てる。


【来週の見通し】
 横ばいか。国内では小売などの決算発表が一巡する。3月訪日外客数(19日)や3月全国CPI(21日)など注目の指標もあるが、全体としては火曜日以降は材料難となる。一方、米国では決算発表が出始めることから、海外動向に一喜一憂することになるだろう。米国に関しては、今週、CPIやPPIを確認してインフレ高進への警戒は後退しているものの、景気後退への警戒が高まる可能性があり、注意が必要。来週は米国で住宅関連の指標がいくつか出てくる。日本株は今週大きく上昇したことから、良好な地合いは維持されると考える。ただ、3月決算銘柄は本決算の発表を先に控えて手がけづらくなることから、いったん上昇ピッチは鈍ると予想する。
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。