株式明日の戦略-下落スタートから終日軟調、米国の金利動向に要注目

 10日の日経平均は反落。終値は120円安の29122円。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり436/値下がり1341。自己株取得を発表した三菱商事が商いを伴って大幅上昇。トヨタは小幅なプラスではあったが、着地の計画上振れや自己株取得を評価した買いが入った。今期の増益および増配見通しが好感されたニトリHDが4.6%高。資本政策の変更を発表した丸井Gや、自己株取得を発表した冶金工が急騰した。大幅増益・大幅増配見通しを発表した矢作建設がストップ高。前日にストップ高まで買われたAbalanceが一段高となり、売買代金ランキングでは全市場で7位と市場の注目を集めた。

 一方、ダイキンや任天堂が決算を受けて下落。今期が大幅減益見通しとなった太陽誘電や三菱自動車が大幅に下落した。薬品株は塩野義製薬、小野薬品、エーザイが業績関連のリリースで売られたほか、第一三共が大幅安となるなど、セクターとしての弱さが目立った。決算が失望を誘ったレノバが17.7%安。今期の大幅最終減益見通しとスタンダード市場選択が嫌気されたメディカルシステムネットワークが急落した。

 日経平均は反落。きのうが意外高の感もあっただけに、それが修正されたような1日であった。物色面では、きのうに続いて買われていた鉄鋼株が、14時に発表された日本製鉄の失望決算を受けて急変した。良くも悪くも注目度の高い企業に影響されやすいという傾向が強まっている。あすは大林組や清水建設など建設株の決算を場中に多く消化する予定。当該セクターも同業に影響されやすい傾向があるため、決算発表銘柄だけでなく、それ以外の値動きにも注意を払っておく必要がある。

 今晩、米国では4月消費者物価指数(CPI)が発表される。5月のFOMCでは利上げの打ち止めが示唆されており、結果が強くインフレ長期化が意識されたとしても、それだけでFRBが次回のFOMC(6月13日~14日)で利上げに踏み切る可能性は低い。米国株が下落したとしても、派手な下げにならなければ日本株へのネガティブな影響は限られるだろう。それでも、米国の長期金利がCPIにどう反応するかは注目しておきたい。

 ここから先は、グロース株のソフトバンクG、東京エレクトロン(いずれも11日予定)、三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行(いずれも15日予定)など、金利動向に神経質となりやすい銘柄の決算発表が控えている。米金利が小動きであれば問題はないが、大幅上昇もしくは大幅低下となった場合には、これらの銘柄は目先で振れ幅が大きくなる可能性がある。

(小針)
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