ロンドン為替見通し=ユーロやポンド、金利高は買い材料視されずか

 本日のロンドン為替市場でも、欧州金利や株を眺めてリスクセンチメントの強弱を測りながらの値動きとなりそうだ。ユーロドルは昨日も1.09ドル前半の日足一目均衡表・転換線付近で伸び悩み、アジア午前には1.0860ドル台の同・雲の上限を睨む動き。昨日は独金利が上昇した場面でもユーロドルの上値が重かったところをみると、下サイドを一度は試す場面もあるか。

 なお一部通信社が昨日、世界有数の金融グループ・アリアンツのチーフエコノミストの見通しを伝えた。それによれば、欧米中銀の過度な金融引き締めが長引いた場合、主要経済に与えるダメージ拡大もあり得るという。また昨日公表されたOECD(経済協力開発機構)のレポートによると、先進国の5月総合インフレ率は2021年12月以来の水準まで低下したものの、コアインフレ率(食品とエネルギーを除く)は根強いままとされた。引き締め長期化というアリアンツの懸念が相場全体に広がる可能性はありそうだ。

 またOECDの報告書では、オランダ、ノルウェー、英国ではインフレが鈍化していないと指摘。その英国では、2年物や5年物の住宅ローン金利(固定)が年初来では最高水準まで上昇したことが伝わった。住宅市場の縮小に繋がりかねず、また住宅ローンの割合が家計で大きくなってしまうことで消費意欲の減退もあり得るだろう。ここからの英金利上昇は、必ずしもポンド買いというわけでもないか。

 本日の経済指標では、改定値ではあるが欧州の6月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が発表される。主要都市で暴動が続いていたフランスの下振れには警戒したい。また5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)のマイナス幅も材料視されるかもしれない。


想定レンジ上限
・ユーロドルは6月29日高値1.0941ドル、ポンドドルはピボットターニングポイント1.2795ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドルは日足一目均衡表・雲の下限1.0799ドル、ポンドドルは一目・基準線1.2598ドル。


(小針)
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