ロンドン為替見通し=ポンド主導の相場続くか、ユーロは仏大統領の行動が重しに

 本日のロンドン為替市場では、昨日の英雇用指標の発表以降に相場をリードしたポンドの方向性を見定めながらの取引となる。英国の週平均賃金(3カ月平均)が前年比7%台乗せを受けて、英中銀が金融引き締めを加速するとの見通しが強まった。昨日の英2年債利回りは約15年ぶりの水準まで上昇し、前日比0.26ポイント高の4.897%で引けている。

 さすがに昨日の調整は入るかもしれないが、英中銀が示していた年後半にかけて大幅なインフレ低下という見方は崩れかけており、次のインフレ指標までは英金利の底堅さとともにポンドの下値も限定的か。英国の5月消費者物価指数(CPI)は、金融政策が公表される前日、来週21日に発表される。

 なお英国では本日、ロンドン早朝に4月の月次GDPや鉱工業生産などが発表予定。GDPは前月比でプラス回復、鉱工業生産は前年比でマイナス幅縮小が見込まれている。もっとも予想から大きく振れない限り反応は鈍そうだ。いずれにせよ英債市場の動向を見守ることになる。

 ユーロドルは厚い日足一目均衡表・雲や基準線を意識した値動きか。昨日は米CPIの発表後に雲の中に入り込んだものの、1.0820ドル台まで下げていた基準線付近で抑えられた。本日も昨日同様に雲の下限が1.0806ドル、基準線は1.0821ドルに位置している。欧州午後の5月米卸売物価指数(PPI)で動意付く可能性はあるものの、結局は米連邦公開市場委員会(FOMC)ということになってしまいそうだ。

 気になるのは、一部仏メディアが報じているマクロン仏大統領について。仏大統領は南アフリカで8月開催予定のBRICS首脳会議に参加したい意向を、議長国である南アのラマポーザ大統領に伝えたもよう。世界の4割の人口を抱えるグループと経済的な結びつきを強めたいのは分かる。ただし米英など西側諸国との協調を乱すとなれば、通貨ユーロにとってプラスには捉えられないかもしれない。

想定レンジ上限
・ポンドドルは5月10日につけた年初来高値1.2680ドル、ユーロドルは4月26日から5月31日までの下落幅の半値戻し1.0865ドル付近。

想定レンジ下限
・ポンドドルは昨日安値1.2504ドル、ユーロドルが12日安値1.0733ドル。


(小針)
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