株式明日の戦略-またもソシオネクストが木曜にストップ安、米雇用統計を前に正念場

 6日の日経平均は大幅に3日続落。終値は565円安の32773円。休場明けの米国株が下落したことを嫌気して、寄り付きから200円を超える下落。すぐに節目の33000円を割り込むと、一気に下げ幅を400円超に広げた。32800円台でいったん下げ渋って切り返したものの、戻しても33000円を超えてくると上値が重くなった。

 それでも前場では33000円近辺で踏みとどまったが、後場は持ちこたえられず、前引けから大きく水準を切り下げて始まった。700円超下げて32600円台に突入したところで売りは一巡したものの、テクニカルの節目である25日線を割り込んだことから戻りは緩慢。引けまでさえない動きが続き、500円を超える下落となった。

 米国の長期金利が大幅に上昇したことや、個人投資家人気の高いソシオネクスト<6526.T>がストップ安売り気配で張り付いたことなどから、新興グロース株が売り込まれており、マザーズ指数が3%を超える下落となった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆5700億円。業種別ではプラスは鉱業と空運の2業種のみで、食料品の下げが限定的。一方、機械、精密機器、その他製品の3業種が2%台の下落となった。上期は前年同期比で営業減益も、直近の四半期で利益を大きく積み増したエスプール<2471.T>がストップ高。半面、海外での株式売り出しにより、日本政策投資銀行、富士通<6702.T>、パナソニックホールディングス<6752.T>が保有分を全株売却することがネガティブサプライズとなったソシオネクストが、場中値付かずのストップ安比例配分となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり318/値下がり1477。日経新聞で配当性向の引き上げを検討していると報じられた神戸鋼が大幅高。新興銘柄には売られるものが多かったが、バイオベンチャーのクオリプスは商いを伴って急伸した。富士通、NEC、東芝など電機株が堅調。大規模な自己株取得を発表したレオパレス21が急伸し、1Qが大幅増益となったアドヴァンGが一時ストップ高まで買われて年初来高値を更新した。

 半面、米長期金利の上昇を受けて、東京エレクトロン、ルネサスなど半導体株が大幅安。ファーストリテイリング、ダイキン、キーエンスなど値がさ株も下げが大きかった。ソシオネクスト急落で個人投資家が好みそうなグロース株が集中的に売られており、ANYCOLOR、カバーのVチューバー関連2社が急落。ブリーチ、ジーデップ、ARアドバン、エリッツなど直近上場株に2桁の下落率となる銘柄が続出した。

 日経平均は大幅安。またしてもソシオネクストの大幅安に全体市場が翻弄された。ソシオネクストは日経平均構成銘柄ではないが、売買代金ランキング上位の常連で、この銘柄がストップ安で張り付いて終日売買できないとなると、警戒ムードは高まる。前回、ソシオネクストがストップとなった6月22日も木曜日。木曜日にセンチメントが悪化すると、金曜日は週またぎのリスクが意識されることから弱い流れが続きやすい。ちなみに、日経平均は6月22日に310円安となり、翌23日に483円安となった。

 5日の米国株はそこまで大きな下げではなかったが、長期金利が大きく上昇したという点が警戒材料。これがあったからソシオネクスト以外のグロース株も軒並み安となり、特に新興グロース株は手じまい売りに押された。あすは米6月雇用統計の発表日。仮に本日の米国株が上昇したとしても、大幅高でなければ日本株には買いが入りづらい。6月27日につけた安値が32306.99円で、これを割り込まずに推移できるかがポイントとなる。TOPIXは7月に入って直近高値を超えているが、日経平均は6月19日につけた33772.89円に接近しながらこれを超えらえなかった。この状況で直近安値を下回ってしまうと、そのことが売りを誘う材料となるため注意したい。
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