週間為替展望(ドル/ユーロ)-米インフレ指標に注目
◆ドル円、日米金融政策の違いから押し目買い意欲は依然強い
◆ドル円、米CPIをはじめインフレ指標に注目が集まる
◆ユーロドル、欧州景気後退や期待インフレの低下から上値は重そう
予想レンジ
ドル円 142.00-147.00円
ユーロドル 1.0600-1.1100ドル
7月10日週の展望
ドル円は、日米金融政策の明確な方向性の違いから押し目買い意欲は依然として強く、底堅い展開が想定される。米連邦準備理事会(FRB)が「抑制的水準を維持する必要がある」との方針である一方で、日銀は「大規模な異次元緩和政策を現状は継続する」姿勢を示しており、両国のスタンスに変化が見られない限りは円売り・ドル買いが出やすい地合いは続きそうだ。
来週は12日の6月米消費者物価指数(CPI)が予定されており、結果次第では今後の利上げに対する市場の思惑に左右するだろう。そのほかには13日の6月米卸売物価指数(PPI)、14日の7月ミシガン大学消費者態度指数・速報値および同時に明らかになる期待インフレ率に注目している。特に、米2年債や10年債利回りが上値を試す動きとなっているなかで、インフレ指標に対する金利動向に注目が集まるだろう。
なお、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入については引き続き注意する必要があるものの、6月末に付けた145.07円を高値にドル円の上昇が一服しており警戒感はやや後退している状況。昨年、政府・日銀が最初に介入を実施した水準である145円は意識されてはいるが、“水準”ではなく“ペース”を重要視している以上、上値は徐々に軽くなるのではないだろうか。
ユーロドルは、ユーロ圏の景気後退懸念および期待インフレの低下により上値は限られそうだ。6月ユーロ圏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値が昨年12月以来、初めて好不況の分かれ目となる50を割り込むなど、製造業のみならずサービス業の低迷も顕著化している。また、欧州中央銀行(ECB)調査による1年先の期待インフレ率が+3.9%(前回+4.1%、前々回+5.0%)と着実に低下していることでインフレ懸念が和らいでいることも、引き続きユーロの重しとなりそうだ。
7月3日週の回顧
ドル円は週半ばまで144円台を中心とした推移が続いたが、6日に日経平均株価が大幅に下落したことをきっかけに売りが優勢となり、143.56円まで売り込まれた。一方、6月ADP全米雇用報告や6月米ISM非製造業景況指数が軒並み強い結果だったことで144円台を回復するなど明確な方向感は出ていない。
また、ユーロドルは3日に低調な6月米ISM製造業景気指数を受けたユーロ買いドル売りで1.0934ドルまで上げたが買いは続かなかった。5日には6月ユーロ圏サービス部門PMI改定値が予想を下回ったことで上値が重くなり1.0834ドルまで下押しした。一方、ドル売りが強まると1.0900ドルまで反発するなど、ドル円と同様、上下ともに明確なバイアスは生まれなかった。チャート上では、一目均衡表雲が意識されている。(了)
◆ドル円、米CPIをはじめインフレ指標に注目が集まる
◆ユーロドル、欧州景気後退や期待インフレの低下から上値は重そう
予想レンジ
ドル円 142.00-147.00円
ユーロドル 1.0600-1.1100ドル
7月10日週の展望
ドル円は、日米金融政策の明確な方向性の違いから押し目買い意欲は依然として強く、底堅い展開が想定される。米連邦準備理事会(FRB)が「抑制的水準を維持する必要がある」との方針である一方で、日銀は「大規模な異次元緩和政策を現状は継続する」姿勢を示しており、両国のスタンスに変化が見られない限りは円売り・ドル買いが出やすい地合いは続きそうだ。
来週は12日の6月米消費者物価指数(CPI)が予定されており、結果次第では今後の利上げに対する市場の思惑に左右するだろう。そのほかには13日の6月米卸売物価指数(PPI)、14日の7月ミシガン大学消費者態度指数・速報値および同時に明らかになる期待インフレ率に注目している。特に、米2年債や10年債利回りが上値を試す動きとなっているなかで、インフレ指標に対する金利動向に注目が集まるだろう。
なお、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入については引き続き注意する必要があるものの、6月末に付けた145.07円を高値にドル円の上昇が一服しており警戒感はやや後退している状況。昨年、政府・日銀が最初に介入を実施した水準である145円は意識されてはいるが、“水準”ではなく“ペース”を重要視している以上、上値は徐々に軽くなるのではないだろうか。
ユーロドルは、ユーロ圏の景気後退懸念および期待インフレの低下により上値は限られそうだ。6月ユーロ圏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値が昨年12月以来、初めて好不況の分かれ目となる50を割り込むなど、製造業のみならずサービス業の低迷も顕著化している。また、欧州中央銀行(ECB)調査による1年先の期待インフレ率が+3.9%(前回+4.1%、前々回+5.0%)と着実に低下していることでインフレ懸念が和らいでいることも、引き続きユーロの重しとなりそうだ。
7月3日週の回顧
ドル円は週半ばまで144円台を中心とした推移が続いたが、6日に日経平均株価が大幅に下落したことをきっかけに売りが優勢となり、143.56円まで売り込まれた。一方、6月ADP全米雇用報告や6月米ISM非製造業景況指数が軒並み強い結果だったことで144円台を回復するなど明確な方向感は出ていない。
また、ユーロドルは3日に低調な6月米ISM製造業景気指数を受けたユーロ買いドル売りで1.0934ドルまで上げたが買いは続かなかった。5日には6月ユーロ圏サービス部門PMI改定値が予想を下回ったことで上値が重くなり1.0834ドルまで下押しした。一方、ドル売りが強まると1.0900ドルまで反発するなど、ドル円と同様、上下ともに明確なバイアスは生まれなかった。チャート上では、一目均衡表雲が意識されている。(了)