週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、賃金データに注目
◆ポンド、賃金データ次第では引き締め強化への思惑も
◆ポンド、ハト派MPC委員の退任で英金融当局はよりタカ派に
◆加ドル 金利据え置き予想も声明内容に注目
予想レンジ
ポンド円 180.00-186.00円
加ドル円 106.00-109.50円
7月10日週の展望
ポンドは、週初は米雇用統計を受けた市場センチメントを引き継いだ動きとなりそうだ。その後は11日に英国国家統計局(ONS)が公表する雇用関連指標が、相場の方向性を左右することになる。失業率で労働市場の強さを測るのはもちろん重要ではあるものの、やはり注目は伸び率が前回7.2%と想定以上に加速していた「ボーナスを除く平均賃金」だろう。7%超えは、統計に歪みが生じた新型コロナウィルス感染拡大時を除くと過去最高。19日発表の6月英消費者物価指数(CPI)の前哨戦とも言える賃金データが高止まりとなれば、イングランド銀行(英中銀、BOE)の引き締め強化、そして長期化への思惑が益々高まりそうだ。
13日には英国の5月鉱工業生産や月次国内総生産(GDP)が発表予定だが、予想以上の利上げを決定した先月の英中銀会合の前であり、金融政策が同国経済にどのような影響を与えているかを見定めるのはもう暫く先となる。ただし、昨夏からマイナスを記録している鉱工業生産(前年比)は気にかけておきたい。前回はマイナス期間内で減少幅が最小だった。
なお、英中銀金融政策委員会(MPC)内では委員の交代があった。ハト派として知られるテンレイロ委員の後任に、リスク管理会社のグローバル首席エコノミストだったグリーン氏が就任。退任したテンレイロ氏は、2021年12月から始まった利上げサイクルの中で、22年11月会合以降は全て決定よりも小幅な利上げか据え置きを主張していた。一方グリーン新MPC委員は、英紙への寄稿で英金利高の長期化を警告しており、今後はMPCがよりタカ派に傾くと見られている。
加ドルも6月カナダ雇用統計後の流れが続くだろう。5月分の雇用データが予想より悪かっただけに6月分への注目度は高く、市場予想から上下振れが大きいようだとそれに沿った方向性が週明けに強まるかもしれない。
もっとも、来週の最大の注目は12日にカナダ中銀(BOC)が公表する金融政策。BOCの追加利上げを見込むのは市場の少数派。現状は政策金利4.75%での据え置き予想が優勢となっている。やはり5月CPIが鈍化基調を強めたことを重要視する向きが多い。ポイントは、BOC声明で秋以降の会合に対する市場の思惑に変化があるのかどうか。今のところ、短期金融市場は9月会合で0.25ポイント利上げを織り込んでいる。引き締めに慎重姿勢と受けとめられるようだと、米金利先高観が強まるなか対ドルを中心に加ドル売りが進む可能性はある。
7月3日週の回顧
ポンドは対円、対ドルとも英金利上昇を支えに底堅かった。対円では2015年以来の184円台乗せ後に失速したが、183円割れでは下げ渋った。ポンドドルは1.27ドルを中心に上下する展開が続くも、週後半には1.27ドル後半まで強含んだ。
加ドルは原油先物の上昇を背景に買われる場面はあったものの、金利据え置き観測の広まりで伸び悩んだ。リスクセンチメント悪化も重しに、対円では109円台から107円後半、対ドルでも1.33加ドル後半まで加ドル安に傾いた。(了)
(小針)
◆ポンド、ハト派MPC委員の退任で英金融当局はよりタカ派に
◆加ドル 金利据え置き予想も声明内容に注目
予想レンジ
ポンド円 180.00-186.00円
加ドル円 106.00-109.50円
7月10日週の展望
ポンドは、週初は米雇用統計を受けた市場センチメントを引き継いだ動きとなりそうだ。その後は11日に英国国家統計局(ONS)が公表する雇用関連指標が、相場の方向性を左右することになる。失業率で労働市場の強さを測るのはもちろん重要ではあるものの、やはり注目は伸び率が前回7.2%と想定以上に加速していた「ボーナスを除く平均賃金」だろう。7%超えは、統計に歪みが生じた新型コロナウィルス感染拡大時を除くと過去最高。19日発表の6月英消費者物価指数(CPI)の前哨戦とも言える賃金データが高止まりとなれば、イングランド銀行(英中銀、BOE)の引き締め強化、そして長期化への思惑が益々高まりそうだ。
13日には英国の5月鉱工業生産や月次国内総生産(GDP)が発表予定だが、予想以上の利上げを決定した先月の英中銀会合の前であり、金融政策が同国経済にどのような影響を与えているかを見定めるのはもう暫く先となる。ただし、昨夏からマイナスを記録している鉱工業生産(前年比)は気にかけておきたい。前回はマイナス期間内で減少幅が最小だった。
なお、英中銀金融政策委員会(MPC)内では委員の交代があった。ハト派として知られるテンレイロ委員の後任に、リスク管理会社のグローバル首席エコノミストだったグリーン氏が就任。退任したテンレイロ氏は、2021年12月から始まった利上げサイクルの中で、22年11月会合以降は全て決定よりも小幅な利上げか据え置きを主張していた。一方グリーン新MPC委員は、英紙への寄稿で英金利高の長期化を警告しており、今後はMPCがよりタカ派に傾くと見られている。
加ドルも6月カナダ雇用統計後の流れが続くだろう。5月分の雇用データが予想より悪かっただけに6月分への注目度は高く、市場予想から上下振れが大きいようだとそれに沿った方向性が週明けに強まるかもしれない。
もっとも、来週の最大の注目は12日にカナダ中銀(BOC)が公表する金融政策。BOCの追加利上げを見込むのは市場の少数派。現状は政策金利4.75%での据え置き予想が優勢となっている。やはり5月CPIが鈍化基調を強めたことを重要視する向きが多い。ポイントは、BOC声明で秋以降の会合に対する市場の思惑に変化があるのかどうか。今のところ、短期金融市場は9月会合で0.25ポイント利上げを織り込んでいる。引き締めに慎重姿勢と受けとめられるようだと、米金利先高観が強まるなか対ドルを中心に加ドル売りが進む可能性はある。
7月3日週の回顧
ポンドは対円、対ドルとも英金利上昇を支えに底堅かった。対円では2015年以来の184円台乗せ後に失速したが、183円割れでは下げ渋った。ポンドドルは1.27ドルを中心に上下する展開が続くも、週後半には1.27ドル後半まで強含んだ。
加ドルは原油先物の上昇を背景に買われる場面はあったものの、金利据え置き観測の広まりで伸び悩んだ。リスクセンチメント悪化も重しに、対円では109円台から107円後半、対ドルでも1.33加ドル後半まで加ドル安に傾いた。(了)
(小針)