NY為替見通し=米雇用統計の結果で上下もドル円の上値は限定的か

 本日のドル円は6月の米雇用統計が発表されることで、指標結果で大きく振れる可能性は高いが、ドル円の上値は限定的となるか。

 昨日発表された、6月ADP全米雇用報告は+49.7万人と予想の+22.8万人を大きく上回った。また、6月米ISM非製造業景況指数も好結果だったことで、米債は売られ、米10年債利回りは3月2日以来約4カ月ぶりの高水準を付け、2年債利回りは2007年6月以来16年1カ月ぶりの高水準を記録した。しかしながら、通常は米金利上昇に連れて買われるドル円の反応は非常に鈍く、結果的には株安を嫌気しドル円は軟調にな動きになっている。本日の雇用統計が強い結果だった場合は、イニシャルな反応はドル買いになるだろうが、米株が続落すれば、ドル円の上値が抑えられるだろう。

 また、それ以外にもドル円の伸びが弱まりそうな要因は複数ある。一つは日銀の動向が、7月27-28日に行われる日銀政策決定会合を前に、警戒モードがワンランク上がっていること。本日の日経新聞朝刊に、内田日銀副総裁のインタビューでは、金融緩和継続を強調したものの、イールドカーブコントロール(YCC)の将来の見直しの可能性を否定していない。昨年12月の長期金利の許容上限を0.5%に引き上げ時のように、週末に新聞等でYCCの上限引き上げの地ならしを含ませる観測記事などが出て、週明けに円が強含んで始まるリスクもありそうだ。また、雇用統計後にドル円が強含んだ場合でも、水準的に為替介入を警戒していることもあり、上値を追いかけて買うのは難しくなるだろう。

・想定レンジ上限
 ドル円のこれまでの本日高値144.20円、その上は昨日のNY入り後の高値144.65円から5日高値144.73円近辺が抵抗帯となるか。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は6月23日安値142.72円。その下は日足一目均衡表・基準線141.84円。

(松井)
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