週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、RBA議事要旨に注目

◆豪ドル、米CPI後のドル売りの流れが相場を下支え
◆RBNZ、当面は金利を据え置く姿勢を改めて表明
◆ZAR、利上げも売りで反応する可能性に注意

予想レンジ
豪ドル円 93.00-97.00円
南ア・ランド円 7.40-7.80円

7月17日週の展望
 豪ドルは対ドルを中心に底堅く推移しそうだ。今週は豪州からの材料が乏しく、日米金融政策絡みなど外部情勢に振らされる展開となった。来週も米国からは多くの経済指標が発表されるが、インフレ関連指標の発表は予定されていないため、今週の6月米消費者物価指数(CPI)を受けたドル売りの流れが大きく変化する可能性は低いと見込む。足もとで急速に豪ドル買い・ドル売りが進んだ分の調整には注意が必要となるが、基本的には下値の堅い動きとなりそうだ。

 一方、日銀絡みでは市場でイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正思惑が根強く、円相場の下支えとなっている。市場のYCC修正観測は行き過ぎとの見方もあるが、27-28日の日銀政策決定会合まで、修正観測による円買いが豪ドルに対しても一定の重しになるだろう。
 
 なお、豪州では18日に豪準備銀行(RBA)の政策決定会合議事要旨、20日に6月雇用統計が公表予定。いずれも相場が反応する可能性は高く、来週は豪ドル主導の動きも期待できそうだ。今月金利据え置きを決めたRBAの次の動きを議事要旨などから探っておきたい。

 隣国NZでは来週19日に4-6月期CPIが発表予定。今週のNZ準備銀行(RBNZ)金融政策は市場予想通りの金利据え置きとなり、声明文では「国内のインフレ率はピークから低下し続けると予想」「政策金利は当面制限的な水準を維持する必要がある」などの見解が示された。RBNZの見通し通りにインフレが推移していくのかを、CPIで確認することになる。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値の重い展開となりそうだ。来週は19日に6月CPIが発表されるほか、20日には南アフリカ準備銀行(SARB)が金融政策を公表する。市場予想では現行の8.25%から8.50%への利上げが見込まれているが、景気減速懸念の強いなかでは利上げが必ずしもプラス材料ではなく、ZAR売りを促す可能性がある点には注意が必要だ。
 
 前回の会合(5月25日)時も声明文で「通貨安が一段と進む可能性がある」などと言及されたこともあり、50bpの利上げ決定後にZARは下落した。クガニャゴSARB総裁は今週の国際通貨基金(IMF)で講演した際、国内の経済情勢に強い懸念を示していたが、金融政策決定会合の声明文でも厳しい判断が示される可能性が高い。

7月10日週の回顧
 豪ドルは対ドルで堅調に推移。12日に公表された6月米CPIが予想以上に鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測が後退するとドルが全面安。豪ドルも対ドルで大きく上昇した。一方、対円ではドル円の下落や日銀のYCC修正思惑などから一時売りが強まる場面も見られたが、週末にかけては値を戻している。
 
 ZARも対ドルを中心に買いが強まった。米CPIの公表後にドル売り・ZAR買いが加速し、対ドルでは4月以来のZAR高水準まで反発。対円ではドル円の下落によって相殺された面もあったが、前週に下落した分をやや取り戻した格好となった。(了)
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