週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、RBAの金融政策に注目

◆豪ドル、4月CPIは4カ月ぶりにインフレ加速
◆豪ドル、RBAの6月金利据え置きシナリオに疑念の声も
◆ZAR、ロシアの処遇を巡って欧米から制裁の可能性

予想レンジ
豪ドル円 89.00-93.00円
南ア・ランド円 6.65-7.25円

6月5日週の展望
 豪ドルは神経質な展開となりそうだ。今週に発表された4月消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.8%上昇となり、市場予想の6.4%を上回った。3月の6.3%も上回っており、4カ月ぶりにインフレ加速の兆候が示された。
今回の結果を受けて、市場が想定している「6月6日の豪準備銀行(RBA)会合では金利が据え置かれる」とのシナリオにも疑念の声が聞かれるようになった。短期金融市場でも一部利上げを織り込む動きが見られているが、大枠は据え置きとの見方が維持されている。6月6日の会合で利上げが実施されれば、相場への影響も大きくなると予想されるため、注意しておきたい。

 一方で、大方の予想通りにRBAが金利据え置きを決めれば、豪ドルは神経質な展開となるだろう。米金融引き締めの長期化観測が高まるなか、足もとでは対ドルで豪ドル売りが進む展開となっているが、今週に入って米金融当局者からハト派発言も聞かれており、豪ドル売り・ドル買いの地合いに今後変化が生じる可能性もありそうだ。また、豪ドル円はドル円の上昇によって相殺され、ここまで比較的底堅く推移してきたが、こちらも今後は注意が必要。今週はドル円が高値警戒感や政府・日銀による口先介入などで伸び悩む場面も見られており、さらにドル円の上値が重くなれば豪ドル円も崩れ始めるリスクが高まりそうだ。

 来週はRBA金融政策のほかに、6月6日に1-3月期経常収支、6月7日に1-3月期四半期国内総生産(GDP)、6月8日に4月貿易収支が発表予定。6月7日のGDPに対しては豪ドル相場が反応する可能性が高い。また、隣国ニュージーランド(NZ)は6月5日が国王誕生日の祝日で休場。6月8日には1-3月期四半期製造業売上高の発表が控えている。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はさえない展開が続きそうだ。南アフリカ準備銀行(SARB)は今週公表した金融安定性レビューで「ランド安が進む可能性」を指摘。さらに「欧米各国からの制裁や資本流出によって金融安定リスクが高まる可能性」に対しても警告した。また、8月に同国で開催されるBRICS首脳会議では、国際刑事裁判所から逮捕状が発行されているプーチン露大統領の処遇に対して注目が集まっていたが、南ア政府は「外交特権を付与することで大統領を逮捕することはない」と発表。この対応についても今後欧米諸国からの反発が強まる可能性があり、ZARの売り要因として意識されそうだ。

5月29日週の回顧
 豪ドルは神経質な展開となった。全般にドル買いの動きが先行したことで、対ドルでは一時昨年11以来の安値を更新。ただ、米金融当局者からハト派的な発言が伝わると、対ドルでの売りも一服。週末にかけて一転して買い戻しの動きとなっている。対円ではドル円の伸び悩みに伴って上値の重さが目立った。ZARはさえない動き。対ドルでは過去最安値を更新したほか、対円でも戻りの鈍い展開となり、12日つけた年初来の安値が再び視野に入ってきた。(了)
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