週間為替展望(豪ドル/ZAR)-RBA、利上げサイクル終了も視野に

◆RBA、声明文はハト派的な内容
◆豪州、対米国では金融政策の方向性の違いが目立つ
◆南ア、深刻な電力不足の影響でGDPも失速

予想レンジ
豪ドル円 87.00-91.50円
南ア・ランド円 7.10-7.45円

3月13日週の展望
 豪ドルはさえない動きとなりそうだ。今週、0.25%利上げと同時に公表された豪準備銀行(RBA)理事会の声明文では、前回までの「金融引き締め策を数カ月継続する」から「数カ月」の部分が削除されたほか、「月次のCPIは豪インフレがピークに達したことを示唆」などの見解が新たに示された。市場は声明文をハト派的な内容だったと受け止め、利上げサイクルの終了も視野に入れ始めている。

 一方で、その翌日に行われた米議会証言でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は「最新の経済データは予想より強く、金利の最終到達水準(ターミナルレート)が従来想定より高くなる可能性が高いことを示唆」「経済データが全体として、より速い引き締めペースを正当化するのであれば、利上げペースを加速させる用意がある」などの見解を示し、従来からのタカ派的な姿勢を強めている。

 今週の豪・米イベントを消化し、金融政策の方向性の違いはより鮮明となっている。金利先高観を背景に全般ドル買いの流れが継続すると思われるなか、豪ドルも対ドルではさえない動きとならざるを得ないだろう。

 来週は豪州から14日に3月ウエストパック消費者信頼感指数や2月 NAB企業景況感指数、16日には2月雇用統計が発表予定。雇用統計は豪ドル相場にも影響を及ぼす可能性が高く、注意しておきたい。隣国NZからは15日に10-12月期四半期経常収支、翌16日に10-12月期四半期国内総生産(GDP)が公表予定。NZドル相場の行方を占う上でも、GDPで足もとの経済状況を確認する必要がありそうだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)も対ドルを中心に弱含む展開か。今週発表された10-12月期四半期GDPは市場予想を下回る弱い結果となった。深刻な電力不足が「景気の足を引っ張った」構図が明らかになり、ZARの買い材料は依然として乏しいのが現状だ。ラマポーザ大統領は6日に内閣改造を行い、電力不足に対応すべく電力担当の特命相を新設したが、市場では問題解決には時間を要するとの見方が大勢。国営電力会社エスコムを巡る汚職問題も引き続きZAR相場の重しとなるだろう。

3月6日週の回顧
 豪ドルは軟調に推移。RBAは7日に開催した金融政策会合で市場の予想通り25bpの利上げを決定したが、同時に公表された声明文の内容が「ハト派的だった」との見方が広がると、全般に豪ドル売りが強まった。

 ZARはFRB議長の発言を受けて全般にドル買いが強まった影響もあり、対ドルでは2020年5月以来の安値を更新。10-12月期GDPが予想より弱い結果となったことも売り材料視された。対円でもさえない展開が続き、年初来の安値をうかがう動きとなった。(了)
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