週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、RBA声明文に要注目

◆豪ドル、0.25%利上げが既定路線も声明文に注意
◆豪・南アともに7-9月期のGDPに注目
◆ZAR、ラマポーザ南ア大統領の去就が波乱要因

予想レンジ
豪ドル円 91.00-95.00円
南ア・ランド円 7.00-7.90円

11月28日週の展望
 豪ドルはもみ合いか。来週は豪州のイベントが多数予定されている。経済指標では7日に7-9月期国内総生産(GDP)が発表され、8日には10月貿易収支が発表される。これらの経済指標も重要だが、最大の注目は6日に行われる豪準備備銀行(RBA)理事会。

 豪4大金融機関はともにRBA理事会で25ベーシスポイントの利上げを行い、政策金利を3.10%まで引き上げるとの予想。しかし、12月で利上げが終了するのか、来年以降も利上げを継続するかの予想は分かれている。一部では、賃金の上昇や、企業が価格に転嫁することで、利上げを行った場合でも経済的な影響が少ないとする声があり、来年も利上げを継続としている。一方で、10月のCPIが予想や前月よりも低下したことで、このままインフレが鎮静化する可能性もあり、12月が最後の利上げとする予想もある。利上げの最終地点となるターミナルレートは12月の3.10%、翌年3月の3.60%、5月の3.85%と分かれた予想になるなど、今後のRBAの政策の行方を判断するのが難しい状況だ。今回の理事会では、利上げ幅が仮に予想通りだった場合でも、声明がどのようなものになるかが一番の注目となる。また、7-9月期GDPについては、同期の豪民間設備投資が市場予想よりも弱かったことで弱い結果になる可能性もあるが、RBA理事会後ということもあり、どの程度市場が反応するかは不透明だ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が重いか。最大の注目はラマポーザ南ア大統領の去就。今週、ZARが弱含んだ原因は、2020年にラマポーザ大統領が所有するファラファラ農場で多額のドルが盗難された「ファラファラ・スキャンダル」。盗難されたドルが、ランドからの換金を南ア準備銀行(SARB)に報告をしていなかったことが問題の一つ(外為法違反)。また、動物の売却利益を得ていたことは認めたものの、利益と申告に誤差がある脱税の可能性も問題視されていた。このスキャンダルの調査委員会が「重大な違反を犯した可能性がある」との調査結果を発表したことで、16日から20日に行われるアフリカ民族会議(ANC)の党首選挙で再選の道が閉ざされる可能性が高まってきている。1日には大統領辞任検討の報道もあり、ZARの急落を招いている。海外投資家からも信任が厚かった大統領の進退次第でZARは乱高下しそうだ。なお、経済指標では、6日発表の7-9月期GDPに注目。市場ではテクニカルリセッションに陥る可能性も高まっている。

12月5日週の回顧
 豪ドルは対円では下落、対ドルでは堅調。週初は中国のゼロコロナ対策への抗議活動などを嫌気し株安・債券高のリスク回避姿勢が強まり豪ドルは弱含んだ。しかし、中国政府が「個別の事情を踏まえない一律の対応に修正が必要」との見解を示したことや、パウエルFRB議長の発言が伝わると買い戻された。なお、対円では10月中旬以来となる水準まで下値を広げた。ZARは大幅安。南ア大統領のスキャンダルで、再選が危ぶまれると売りが強まった。対ドルでは18ZAR近辺まで、対円では3月以来となる7円台半ばまで弱含んだ。(了)
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