週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、RBAの金融政策に注目

◆豪ドル、四半期金融政策報告のインフレ見通しもポイント
◆NZ、新首相の就任後に与党支持率が上昇
◆ZAR、深刻な電力不足で買い材料は乏しい

●予想レンジ
豪ドル円 88.00-94.00円
南ア・ランド円 7.20-7.70円

2月6日週の展望
 豪ドルは神経質な展開か。1月31日-1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ幅が縮小され、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見内容も「想定よりもタカ派的な姿勢ではなかった」と受け止められたが、7日には年内最初の豪準備銀行(RBA)金融政策が控えている。豪米金利差の行方が注目され、豪ドル相場の方向性を左右することになりそうだ。

 市場では現行の3.10%から3.35%への金利引き上げをほぼ織り込んでいるものの、その後の金利経路については定まっておらず、同時に公表される声明文から先行きの金融政策を探ることになる。もっとも、RBAは前回までの声明文で「(政策金利の見通しについて)あらかじめ決まった道筋はない」と繰り返し述べており、今回も明確なヒントは得られないかもしれない。

 その場合は10日公表のRBA四半期金融政策報告に注目が集まりそうだ。昨年11月公表の前回分では消費者物価指数(CPI)が昨年末に8%程度(トリム平均は6.5%程度)でピークを迎え、その後は鈍化していくと予想されていたが、2024年末時点でも3.25%程度(トリム平均も3.25%程度)となり、RBAのインフレ目標(2-3%)内に収まるのは2025年以降となっていた。

 なお、豪4大銀行は現時点でRBAのターミナルレートについて「3.35-3.85%」と予想しており、4銀行とも5月までに豪利上げ局面は終了、早ければ年内にも利下げ局面へと移行すると見ているようだ。

 隣国NZは6日がワイタンギ・デーの祝日となるが、重要な経済指標などの発表は予定されていない。ヒプキンス新首相の就任後に与党労働党の支持率が上昇し、最新の世論調査では野党国民党の支持率を上回った。政局の先行き不透明感はいったん後退した格好となったが、新内閣の発表後には一時NZドル売りが進む場面が見られるなど不安定な状況が続いている。また、同国最大の都市オークランドでは記録的な豪雨によって大規模な洪水が発生。市長が非常事態を宣言する状況となっており、経済的な影響も懸念される。
 
 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値の重い展開か。南アフリカでは深刻な電力不足状態が続いており、当局は最大都市ヨハネスブルクで熱波と電力不足の影響から水道供給が不測の事態に陥る可能性について警告。政府はこうした電力不足に対処するため「国家非常事態宣言」の発令を検討するなど、国内では連日ネガティブなニュースが伝わっている。当然ながら経済にも大きな影響を及ぼしており、ZARの買い材料は乏しいのが現状だ。

1月30日週の回顧
 豪ドルは方向感の乏しい動き。週明けから伸び悩む展開となっていたが、対ドルではFOMC後にドル売りが進んだ影響から買い戻しが入る場面も見られた。
 ZARも対ドル・対円ともに方向感を欠いた。もっとも、対円では再び年初来安値をうかがう場面も見られるなど、南アフリカの深刻な電力不足などが懸念材料となり、戻りの鈍さが目立った。(了)
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