週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、RBAの声明文に注目
◆豪ドル、金融政策の予想が難しいなか、RBAの声明文に注目
◆ZAR、新たな汚職が判明すれば上値を抑えるか
◆ZAR、食料インフレ加速のなかGDPに注目
予想レンジ
豪ドル円 89.00-93.50円
南ア・ランド円 7.30-7.65円
3月6日週の展望
豪ドルは、不安定な動きとなりそうだ。豪準備銀行(RBA)理事会では政策金利を0.25%引き上げることが予想されるが、注目は声明文。これまで以上にRBAの動向に注目が集まるのは、前回の議事要旨やロウRBA総裁の議会証言では「豪州のインフレがピークに達していない」「不人気な金利上昇でも気に留めない」などと述べタカ派姿勢を保っていたが、その後のロウ総裁の講演では「数週間のうちに経済情勢を再評価する」と発言したからだ。
ロウ総裁の発言以後の経済指標では、先週の10-12月期賃金指数は市場予想より弱く、民間設備投資は予想より強かった。また、今週発表された1月小売売上高は市場予想を上振れたが、1月消費者物価指数(CPI)は予想より弱く、10-12月期国内総生産(GDP)も前期比で予想より下振れた。賃金指数、CPI、GDPが弱い結果となったことを、RBAがどのように捉えるのか。来週の豪ドルの動きを左右することになりそうだ。
RBAは過去にも、インフレ高進の兆候を否定した数週間後の理事会でインフレ懸念を示すなど、経済見通しを短期間のうちに柔軟に変更した事実があることには注意しておきたい。来週はRBA理事会以外、市場を動意づける経済指標等の発表はほぼ予定されていないものの、8日にはロウ総裁の講演が予定されている。
南アフリカ・ランド(ZAR)は引き続き上値は限定的か。国営電力会社エスコムの前CEOデ・ルイター氏は、「与党アフリカ民族会議(ANC)がエスコムをめぐって不正を行っていた」とインタビューで応えた。これに対してANCは法廷闘争に持ち込もうとしている。新たな汚職などが判明した場合は、国民のANC離れがさらに進み、南アの国内政治が再び混迷を深める可能性がありZARの上値を抑える可能性がある。
なお、民間会社の調査では2月の食料品価格が前月比で0.2%上昇、前年比では13.1%の上昇となった。1月のCPIは6.9%まで低下したが、食料品インフレ率は上昇していたように、国民の家計負担が相当厳しい傾向が続いていることもZARの重しになっている。経済指標では7日に10-12月期GDP、9日に同期経常収支が発表される。市場は南ア経済の方向性を前向きにとらえていないこともあり、GDPはネガティブサプライズの方が影響度が高いだろう。
2月27日週の回顧
豪ドルは一進一退となった。豪州から発表された弱い経済指標(10-12月期GDP、1月CPIなど)の結果を受けて、豪ドル売りが進む場面があった。ただ、2月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が52.6と予想50.5を上回り、2012年以来の高水準を記録したことなどが豪ドルの支えとなり方向感なく一進一退となった。
ZARは米金利が高止まりしたことを背景に、対ドルでは年初来安値を一時更新した。しかし、中国製造業PMI発表後はリスク選好の動き。南アが世界最大の産出量を誇るプラチナ価格も上昇したことで、ZARの買い戻しがやや優勢だった。なお、南アの失業率は前期よりも改善したが、市場予想には届かない結果となった。(了)
◆ZAR、新たな汚職が判明すれば上値を抑えるか
◆ZAR、食料インフレ加速のなかGDPに注目
予想レンジ
豪ドル円 89.00-93.50円
南ア・ランド円 7.30-7.65円
3月6日週の展望
豪ドルは、不安定な動きとなりそうだ。豪準備銀行(RBA)理事会では政策金利を0.25%引き上げることが予想されるが、注目は声明文。これまで以上にRBAの動向に注目が集まるのは、前回の議事要旨やロウRBA総裁の議会証言では「豪州のインフレがピークに達していない」「不人気な金利上昇でも気に留めない」などと述べタカ派姿勢を保っていたが、その後のロウ総裁の講演では「数週間のうちに経済情勢を再評価する」と発言したからだ。
ロウ総裁の発言以後の経済指標では、先週の10-12月期賃金指数は市場予想より弱く、民間設備投資は予想より強かった。また、今週発表された1月小売売上高は市場予想を上振れたが、1月消費者物価指数(CPI)は予想より弱く、10-12月期国内総生産(GDP)も前期比で予想より下振れた。賃金指数、CPI、GDPが弱い結果となったことを、RBAがどのように捉えるのか。来週の豪ドルの動きを左右することになりそうだ。
RBAは過去にも、インフレ高進の兆候を否定した数週間後の理事会でインフレ懸念を示すなど、経済見通しを短期間のうちに柔軟に変更した事実があることには注意しておきたい。来週はRBA理事会以外、市場を動意づける経済指標等の発表はほぼ予定されていないものの、8日にはロウ総裁の講演が予定されている。
南アフリカ・ランド(ZAR)は引き続き上値は限定的か。国営電力会社エスコムの前CEOデ・ルイター氏は、「与党アフリカ民族会議(ANC)がエスコムをめぐって不正を行っていた」とインタビューで応えた。これに対してANCは法廷闘争に持ち込もうとしている。新たな汚職などが判明した場合は、国民のANC離れがさらに進み、南アの国内政治が再び混迷を深める可能性がありZARの上値を抑える可能性がある。
なお、民間会社の調査では2月の食料品価格が前月比で0.2%上昇、前年比では13.1%の上昇となった。1月のCPIは6.9%まで低下したが、食料品インフレ率は上昇していたように、国民の家計負担が相当厳しい傾向が続いていることもZARの重しになっている。経済指標では7日に10-12月期GDP、9日に同期経常収支が発表される。市場は南ア経済の方向性を前向きにとらえていないこともあり、GDPはネガティブサプライズの方が影響度が高いだろう。
2月27日週の回顧
豪ドルは一進一退となった。豪州から発表された弱い経済指標(10-12月期GDP、1月CPIなど)の結果を受けて、豪ドル売りが進む場面があった。ただ、2月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が52.6と予想50.5を上回り、2012年以来の高水準を記録したことなどが豪ドルの支えとなり方向感なく一進一退となった。
ZARは米金利が高止まりしたことを背景に、対ドルでは年初来安値を一時更新した。しかし、中国製造業PMI発表後はリスク選好の動き。南アが世界最大の産出量を誇るプラチナ価格も上昇したことで、ZARの買い戻しがやや優勢だった。なお、南アの失業率は前期よりも改善したが、市場予想には届かない結果となった。(了)