ロンドン為替見通し=英国とユーロ圏の6月のインフレ率に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、ブラックアウト期間前のタカ派のブイチッチ・クロアチア中銀総裁の講演を見極めた後は、6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値に注目することになる。ポンドドルは6月英消費者物価指数(CPI)に要注目となる。

 6月英消費者物価指数(CPI)は、前月比+0.4%/前年比+8.2%と予想されており、5月の前年比+8.7%からの伸び率鈍化が見込まれている。しかしながら、依然としてインフレ率は高止まりしていることで、8月3日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)での追加利上げは既定路線となっている。
 ベイリー英中銀(BOE)総裁は、先日、「英国の物価上昇には英中銀の想定よりも粘着性がある。われわれが任務を全うし、物価上昇率を2%の目標に収めるという使命を達成して、物価安定の環境を提供することが重要だ」と述べていた。
 英国の短期金利先物は、現在5.0%の政策金利が来年初めには6.25-50%の25年ぶりの高水準に切り上がる展開を織り込んでいる。

 タカ派のブイチッチ・クロアチア中銀総裁の講演では、ターミナルレート(利上げの最終到達点)への言及に注目しておきたい。ブイチッチ総裁は、先日、ユーロ圏のインフレリスクは依然高止まりしているが、従来よりも均衡が取れた状態になっているとの見方を示していた。そして、欧州中央銀行(ECB)が今月の理事会で利上げする可能性が高いことを確認していたが、利上げが終了してもそれを宣言せず、さらなる行動が必要かを判断するために経済指標を注視することになるだろう、とも述べていた。

 ユーロ圏の6月の消費者物価指数(HICP)改定値では、速報値の前年比+5.5%からの上方・下方修正に警戒しておきたい。HICP は、4月の同比+7.0%、5月の同比+6.1%、そして6月速報値の同比+5.5%と伸び率が鈍化傾向にある。

 ユーロドルの下値は、14日と17日が1.1204ドル、18日は1.1209ドルまでだったように、27日のECB理事会に向けて底堅く推移している。

想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1313ドル(2022/2/24高値)
・ユーロ円:157.72円(7/5高値)
・ポンドドル:1.3142ドル(7/14高値)
・ポンド円:182.15円(7/17高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1129ドル(7/13安値)
・ユーロ円:155.21円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.2934ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ポンド円: 180.23円(日足一目均衡表・基準線)


(山下)
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