東京為替見通し=ドル円、底堅い展開か 日米金融政策への思惑から

 24日の海外市場でドル円は、弱い7月米サービス部門・総合PMI速報値を受けて140.76円まで下落。しかしながら、米製造業PMI速報値が予想を上回り、米10年債利回りが上昇に転じたことで141.55円付近まで反発した。ユーロドルは欧州時間発表の仏・独・ユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値が予想を下回ったことで、1.1060ドルまで下落した。ユーロ円は欧州の景気悪化懸念が高まる中、156.24円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は底堅い展開が予想される。本日から明日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の追加利上げが確実視されていることがドルの支え。また、27-28日の日銀金融政策決定会合では、現状の大規模金融緩和の維持が見込まれていることが円の重し。

 日米欧の中央銀行関係者は、ブラックアウト期間で金融政策に関する発言ができない。そのため本日は、財務省関係者による円安牽制発言や岸田政権関係者による日銀の金融政策への言及に注目することになる。

 25-26日のFOMCでは、一連の引き締めサイクルで11回目の利上げ(+0.25%⇒FF金利誘導目標5.25-50%)が確実視されており、注目ポイントは、年末に向けた残り3回(9月、11月、12月)のFOMCで12回目の利上げ(+0.25%)が再強調されるか否かとなる。

 なお、米10年債利回りは3.80%台で推移しており、米国長期債券市場は、7月FOMCが最後の利上げ、そして来年以降のFEDピボット(FRBの利下げ転換)を織り込み始めている。

 27-28日の日銀決定会合では、現状の大規模金融緩和策、政策金利で唯一のマイナス金利(-0.10%)と世界で唯一採用されているイールドカーブコントロール(YCC)の現状維持が見込まれている。

 植田日銀総裁は、18日に「持続的・安定的な2%の物価目標までに距離があるとの認識に変化がなければ、粘り強く金融緩和を続ける姿勢も変わらない」と述べて、YCCの許容変動幅の拡大観測を打ち消した。しかし、植田日銀総裁の発言の行間を深読みすれば、「認識に変化がなければ」という前提条件が示されており、その前提は足元から崩れつつあるのではないだろうか。

 内閣府は、今年度の消費者物価指数の見通しを前年比+2.6%に大きく引き上げ、7月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、物価見通しが現状の+1.8%から+2.5%へ引き上げられる可能性が報じられている。

 神田財務官も昨日、「日本の物価・賃金の動向、最近のデータは予想より上振れしている」と述べて、前提が変化していることを示唆していた。

(山下)
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