NY為替見通し=米雇用統計の前哨戦はあるが、気になるのは格下げへの反応

 本日のニューヨーク為替市場では、まずは金曜日の米雇用統計の前哨戦となる7月ADP全米雇用報告を確認する必要がある。市場予想は18.9万人増と、予想比で大きく上振れた6月49.7万人増から大幅縮小の見込み。好調過ぎた前月からの反動とも捉えられるだろう。しかし、昨日の米雇用動態調査(JOLTS)求人件数やISM製造業雇用指数がさえなかったこともあり、弱めの数値には相場が敏感に反応するのではないか。

 ADP全米雇用報告の結果を受けた動きが一巡した後は、格付け会社フィッチ・レーティングスによる米国債格下げの影響を見極めることになる。フィッチは1日、米国の外貨建て長期債務格付けを「AAA(トリプルA、最上位)」から1段階低い「AA+(ダブルAプラス)」に引き下げた。今後数年間で見込まれる財政悪化や債務上限問題を巡る政治混乱がその要因とされた。

 フィッチの発表から12時間以上経っており、時間外の米債券市場では中期債が買われ、長期債は上値が重い。格下げを織り込みつつあるのだろうが、米投資家が本格参入するニューヨーク時間で新たな市場の流れが出来てもおかしくはない。また、米国との対立を背景に昨年から米国債の保有残高を減らしてきた中国の動向も気になるところだ。いずれにせよ、アジアから欧州と続いたリスク回避地合いが加速するのか、または歯止めがかかるのかを注意しながらの取引となるだろう。

想定レンジ上限
・ドル円は本日15時前の戻しで届かなかった143円が目先の上値めど。超えると本日高値143.36円、そして昨日高値143.55円が意識される。

想定レンジ下限
・ドル円は日足一目均衡表・雲の上限141.83円。割り込むと一目・基準線141.16円を目指す展開か。


(小針)
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