株式明日の戦略-3日続伸で下値不安は和らぐ、半導体株の弱さは懸念材料

 8日の日経平均は3日続伸。終値は122円高の32377円。米国株高を受けて、寄り付きは3桁の上昇。前場では上げ幅を200円超に広げて32500円台に乗せた後に急失速して一時下げに転じるなど、値動きがかなり不安定となった。値上がり銘柄は多かったが、主力半導体株には大きく売られるものが散見された。100円程度の上昇で前場を終えると、後場は前場の高値安値の範囲内での小動きが続いた。終盤にかけてやや強含み、3桁の上昇で取引を終了。グロース株が敬遠されており、マザーズ指数は終日軟調かつ、安値引けとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆6700億円。業種別では電気・ガス、海運、食料品などが上昇した一方、保険、精密機器、鉱業などが下落した。1Qの営業利益が上期計画に対して良好な進ちょくとなった明治ホールディングス<2269.T>が後場急騰。半面、上期が減益着地となった日清紡ホールディングス<3105.T>が後場に入って急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり993/値下がり772。本決算が好感されたレーザーテックが証券会社の目標株価引き上げも追い風に3.5%高。海運株が買いを集めており、川崎汽船が5%を超える上昇となった。証券会社が投資判断を引き上げた三菱重工が大幅高。売買代金ランキングで全市場のトップ10入りするなど商いも活況となった。ブラザー、コムシスHD、SANKYOなどが決算を手がかりに急騰。通期の利益見通しを引き上げた日本山村硝子が場中は値がつかずストップ高比例配分となった。

 一方、アドバンテスト、ソシオネクスト、ディスコなど半導体装置株が大幅安。1Q最終減益の東京海上が弱く、第一生命やT&Dなど決算を先に控えた同業にも売りが広がった。川崎重工は三菱重工の大幅高を横目で見ながら前場では強く買われていたが、昼休みに発表した自身の決算が利益確定売りを誘って後場に入ってマイナス転換。LIFULLやカチタスなど住宅関連の一角が決算を材料に大きく値を崩した。東芝テックは1Q大幅増益も市場の期待には届かなかった上に、東芝の保有株売却意向に応じる目的でディスカウント価格での自己株TOBを発表したことが嫌気されて急落した。

 日経平均は3日続伸。スカッとした上昇ではなかったが、マイナス圏に沈んだところではすかさず買いが入った。持ち直した後場には下を試すような動きは見られず、積極的な売り手は不在といった印象。7日の米国市場ではダウ平均が407ドル高(35473ドル)と大きく上昇したが、米国株がここから持ち直してくるのであれば、日本株も下値に関しては固まってくると思われる。

 一方、きょうは半導体株の弱さが目立った。半導体株が買われない程度ならともかく、強く売られるようだと日経平均の一段の上昇は期待しづらい。決算を消化するのは翌週となるが、10日には東京エレクトロンが1Q決算を発表予定で、今週は半導体株のボラティリティが大きい状況が続きそう。きょうの下げが大きいアドバンテストは、7月18日に22375円まで上昇していたところから、きょうは18000円を割り込み、13週線(18616円、7日時点、以下同じ)も明確に割り込んだ。この銘柄が弱いと他の半導体株にも売りが波及しやすいだけに、13週線近辺で踏みとどまれるかを注視しておきたい。
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