ロンドン為替見通し=天然ガス価格や欧州債券動向を睨みながらの取引

 本日のロンドン為替市場では、やや材料不足のなかで天然ガス先物を中心としたエネルギー価格の動向を睨みながらの取引か。一部欧州の金融機関は、エネルギー価格が再び上昇する可能性を指摘した。もしそうなると、インフレ懸念の再燃から「欧州中央銀行(ECB)がタカ派スタンス」は充分にあり得るということだ。

 欧州の天然ガス価格は先週、一時急騰する場面があった。きっかけは、オーストラリアの主要な液化天然ガス(LNG)施設で従業員がストライキを決議したこと。世界全体のLNG輸出の約1割を扱うターミナルでの出来事に、供給懸念が一気に高まった。ユーロ圏では消費者の1年先インフレ率予想は低下しているものの、エネルギー価格上昇を受けて長期インフレ期待は上向き傾向あるという。週明けは、先週上昇して終えた欧州長期債利回りの動きを注視したい。

 先週の流れのまま欧州長期債利回りが上げ幅を広げるようだと、為替ではユーロを買い戻す動きも見られるか。ただユーロドルの地合いは全般弱いため、反発が1.09ドル後半の日足一目均衡表・転換線辺りまでで限定されてしまうと、7月前半以来の1.08ドル台を試すというパターンもあるだろう。

 他、中国発の金融リスクにも一応警戒しておきたい。一部通信社が報じたところによると、中国の一部信託会社による支払遅延が発生したもよう。規模は大きくないようだが、同国金融セクターの先行き不透明感を高まらせることになるかもしれない。週明けの中国・香港株は売り優勢で推移しており、リスク回避ムードが欧州市場に引き継がれるか注意したい。

想定レンジ上限
・ユーロドルは11日高値1.1005ドル
・ユーロ円は11日高値159.22円

想定レンジ下限
・ユーロドルは日足一目均衡表・雲の下限1.0863ドル
・ユーロ円は日足一目・転換線157.38円


(小針)
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