東京為替見通し=本邦当局の行動に警戒か、GDPや中国指標・RBA議事要旨にも注目

 14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は145.58円まで上昇し、ユーロドルは一時1.0875ドルまで下落した。米10年債利回りが一時4.21%台まで上昇した影響を受けた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、145円台に乗せていることで本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開となる。昨年9月22日にドル円が145.90円まで上昇した局面で、本邦通貨当局はボラティリティー抑制を名目にしたドル売り・円買い介入を断行した。

 2022年9月22日の第1弾の円買い介入(2兆8382億円)では、ドル円は高値145.90円から安値140.36円まで、5.54円(3.8%)下落。当時のボラティリティーを反映するボリンジャー・バンドの+2σは146.12円だった。本日の+2σも146.12円付近にあり、またこの水準は、151.95円から127.23円までの下落幅のフィボナッチ・リトレースメント76.4%戻しとなる。

 8時50分に発表される4-6月期実質国内総生産(GDP)速報値の予想は、前期比+0.8%、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算は+3.1%と、3四半期連続のプラス成長が見込まれている。自動車産業で半導体などの部品供給制約が緩和し、生産と輸出が回復した他、輸出に計上されるインバウンド(訪日客)の増加が牽引するとの見込みだ。輸出が1-3月期の-4.2%から+2.7%程度まで回復する見通しだが、中国経済の減速が引き続き逆風となっており、依然として中国経済のデフレ懸念や景気減速への警戒感が継続する状況が続く。

 その中国経済だが、11時に7月の同国鉱工業生産(予想:前年比+4.4%)や小売売上高(予想:前年比+4.5%)が発表予定。売上高に関係する7月消費者物価指数が前年比-0.3%、鉱工業生産に関係する生産者物価指数が前年比-4.4%だったことで、個人消費や生産部門での低迷を裏付けるネガティブサプライズに警戒しておきたい。

 10時30分に発表される8月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では、「理事会は8月の会合で利上げを検討したが、より有力な案は据え置きであると判断。引き締めはインフレの上振れリスクに対するさらなる保険となる可能性」の背景を見極めることになる。

 豪ドル/ドルは、中国経済の減速懸念や米10年債利回りの上昇などから下落基調にある。中国の経済指標のネガティブサプライズやハト派的なRBA理事会議事要旨により下落トレンドに拍車がかかる可能性には警戒しておいた方がよいだろう。


(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。