東京為替見通し=本邦通貨当局に対する警戒続く、貿易統計や豪雇用統計にも注視

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は146.41円まで上げ幅を拡大した。タカ派的な米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて米10年債利回りが上昇した影響を受けた。ユーロドルは独金利の低下と米長期金利の上昇を背景に1.0872ドルまで下落した。ユーロ円はドル円につれて159.26円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入に警戒する展開か。イベントとしては、本邦7月貿易統計や7月豪雇用統計が注目される。

 本邦通貨当局は昨年、ボラティリティー抑制を名目にしたドル売り・円買い介入を3回断行した。これまでも指摘しているが、円買い介入はボリンジャー・バンド+2σ付近で行われ、介入後の安値は日足一目均衡表・基準線付近だった。本日の高値の目安となる+2σ水準は146.99円付近、安値の目安となる基準線は141.83円処となっている。

 財務省の鈴木財務相や神田財務官、日銀の植田日銀総裁や内田日銀副総裁が言及しているボラティリティーに関しては、昨年9月22日の第1弾円買い介入前は日銀の金融政策が材料、10月21日の第2弾円買い介入前は米連邦準備理事会(FRB)の金融政策が材料だった。昨日の146円台までの続伸の材料もタカ派的なFOMC議事要旨だったことで、「適切な措置」から「断固たる措置」への牽制発言の強化とともに、介入実施には警戒しておきたい。

 8時50分発表の7月貿易統計(通関ベース)の予想は、季節調整前で246億円の黒字と2カ月連続での貿易黒字見込み。6月貿易収支は、輸出が自動車、建設用・鉱山用機械等が増加したため前年同月比1.5%増加、輸入は原粗油、石炭等が減少したことで12.9%減少となり、約430億円の貿易黒字だった。

 予想通りの貿易黒字ならば、4-6月期実質国内総生産(GDP)での輸出の増大傾向が続いていることが示唆される。そうなると輸入物価上昇に繋がる悪い円安ではなく、輸出とインバウンドを増加させる良い円安となり、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感が後退することになるのかもしれない。

 10時30分に発表される7月豪雇用統計の予想は、失業率が3.6%で5、6月の3.5%からやや上昇、新規雇用者数1.50万人の増加で、5月の+7.66万人、6月の+3.26万人からはやや増加幅が減少することが見込まれている。8月RBA理事会議事要旨では、労働市場が転換点にある可能性示す初期の兆候が見られる、と言及された。7月豪雇用統計が予想通りだった場合は、RBA理事会の見立てが裏付けられることになる。一方で、豪準備銀行(RBA)四半期金融政策報告での年末の失業率は3.9%と示されていたことで、依然として、見通しを下回る堅調な労働市場の状況となる。

(山下)
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