東京為替見通し=ドル円は続伸か、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入には要警戒
22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、パウエルFRB議長が議会での証言で「今年あと2回の利上げが適切となるだろう」と述べたことで143.23円まで上昇した。ユーロドルは、パウエルFRB議長がインフレ抑制のために金融引き締めを続ける必要性を改めて強調したことで1.0949ドルまで下落した。ユーロ円は156.93円、ポンド円は182.56円、スイスフラン円は160.00円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、パウエルFRB議長の議会証言を受けて米10年債利回りが3.80%付近まで上昇していることで堅調推移が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には要警戒か。
ドル円は、パウエルFRB議長がインフレ抑制のために金融引き締めを続ける必要性を強調したことで143.23円まで続伸し、昨年11月11日の高値142.48円や151.95円(2022年10月21日高値)から127.23円(2023年1月16日安値)までの下落幅のフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの142.51円を上回った。
この上のポイントとしては、昨年11月10日の高値146.59円や76.4%戻し(151.95円~127.23円)の146.12円となる。
パウエルFRB議長が年内2回の利上げを再強調したものの、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月FOMCで5.25-50%へ利上げ、そして、9月、11月、12月FOMCでは据え置き確率が高まったままであり、年内1回の利上げだけを示唆している。そして、米10年債利回りは3.8%付近、米2年債利回りは4.8%付近で1.00%の長短金利逆転(逆イールド)のままであり、リセッション(景気後退)の到来によるFEDピボット(FRBの利下げ転換)を示唆している。
本邦通貨当局は、昨年9月と10月にボラティリティー(過度な変動)を抑制するという名目で、ボリンジャー・バンド+2σ付近でドル売り・円買い介入を断行しており、本日(※+2σは143.00円付近)も引き続き警戒していくことになる。先日、ドル円が142円台に乗せた局面では、鈴木財務相が「為替動向を『注視』。必要であれば適切に対応」と述べ、西村経産相が「過度な変動・投機的な動きはしっかりと『注視』」と述べ、『注視』の段階に留まっている。本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切る場合は、「断固たる措置」という警告が発せられるため、鈴木財務相や神田財務官の発言内容を見極めつつ、「神田シーリング」を探っていくことになる。
植田日銀総裁は先週16日の日銀金融政策決定会合の後の会見で、「消費者物価の見通しが大きく変われば、政策変更につながる可能性がある」との見解を示していた。
本日8時30分に発表される日本の5月のコア消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.1%と予想されており、4月の同比+3.4%からの低下が見込まれている。日銀が昨年4月の展望リポートから注視している「コアコアCPI」(※生鮮食品やエネルギーを除いた数字)の予想は同比+4.2%で、41年9カ月ぶりの上昇幅を記録した4月の同比+4.1%からの上昇が見込まれている。もし、上昇基調が続いていたならば、7月の日銀金融政策決定会合でのイールドカーブコントロール(YCC)上限引き上げへの思惑が高まることで、ドル円の上値を抑える要因となる。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、パウエルFRB議長の議会証言を受けて米10年債利回りが3.80%付近まで上昇していることで堅調推移が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には要警戒か。
ドル円は、パウエルFRB議長がインフレ抑制のために金融引き締めを続ける必要性を強調したことで143.23円まで続伸し、昨年11月11日の高値142.48円や151.95円(2022年10月21日高値)から127.23円(2023年1月16日安値)までの下落幅のフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの142.51円を上回った。
この上のポイントとしては、昨年11月10日の高値146.59円や76.4%戻し(151.95円~127.23円)の146.12円となる。
パウエルFRB議長が年内2回の利上げを再強調したものの、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月FOMCで5.25-50%へ利上げ、そして、9月、11月、12月FOMCでは据え置き確率が高まったままであり、年内1回の利上げだけを示唆している。そして、米10年債利回りは3.8%付近、米2年債利回りは4.8%付近で1.00%の長短金利逆転(逆イールド)のままであり、リセッション(景気後退)の到来によるFEDピボット(FRBの利下げ転換)を示唆している。
本邦通貨当局は、昨年9月と10月にボラティリティー(過度な変動)を抑制するという名目で、ボリンジャー・バンド+2σ付近でドル売り・円買い介入を断行しており、本日(※+2σは143.00円付近)も引き続き警戒していくことになる。先日、ドル円が142円台に乗せた局面では、鈴木財務相が「為替動向を『注視』。必要であれば適切に対応」と述べ、西村経産相が「過度な変動・投機的な動きはしっかりと『注視』」と述べ、『注視』の段階に留まっている。本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切る場合は、「断固たる措置」という警告が発せられるため、鈴木財務相や神田財務官の発言内容を見極めつつ、「神田シーリング」を探っていくことになる。
植田日銀総裁は先週16日の日銀金融政策決定会合の後の会見で、「消費者物価の見通しが大きく変われば、政策変更につながる可能性がある」との見解を示していた。
本日8時30分に発表される日本の5月のコア消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.1%と予想されており、4月の同比+3.4%からの低下が見込まれている。日銀が昨年4月の展望リポートから注視している「コアコアCPI」(※生鮮食品やエネルギーを除いた数字)の予想は同比+4.2%で、41年9カ月ぶりの上昇幅を記録した4月の同比+4.1%からの上昇が見込まれている。もし、上昇基調が続いていたならば、7月の日銀金融政策決定会合でのイールドカーブコントロール(YCC)上限引き上げへの思惑が高まることで、ドル円の上値を抑える要因となる。
(山下)