ロンドン為替見通し=タカ派に傾く市場に対する当局者の見解に注目

 本日のロンドン為替市場では、短期金融市場が24年第1四半期まで織り込み始めた欧州中央銀行(ECB)利上げサイクルへの思惑に対し、欧州金融当局者がどのような見解を示すか注目される。

 昨日は減速見込みのスペイン消費者物価指数(CPI)が逆に加速、またフランスCPIも市場予想を上回った。これを受けて市場では、現行2.5%のECB中銀預金金利が「来年2月までに4.0%まで引き上げ」を予想する向きが多数派となった。約1カ月前には「年末までに利下げ」を期待する声が高まっていたところからすると大きな変わりようだ。

 昨日のCPI発表前にはレーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストが「食品、エネルギー、商品の先行指標は、インフレ率の鈍化を示唆」と発言していたが、市場参加者としては裏切られた気持ちもあるだろう。本日は欧州午前にビルロワドガロー仏中銀総裁とナーゲル独連銀総裁、午後にはビスコ伊中銀総裁の講演が予定されている。短期金融市場がタカ派に傾斜していることに対し、どのような意見を述べるのかを注視したい。

 気を付けたいのは、欧州金利高に対する最初の反応はユーロ買いが多いものの、結局は垂れてくるパターンも少なからず見受けられること。前回から減速予想の2月独CPI(日本時間22時発表)を確認するまでは、方向感を探る展開ということもあり得そうだ。

 ほか、英国ではベイリー英中銀(BOE)総裁の講演が予定されている。同総裁は以前から、春頃からインフレの鈍化基調が強まるとの見通しを述べていた。基本的には同じような内容なのだろうが、年末にかけての金利見通しに何かしらヒントが示されるか注意したい。

想定レンジ上限
・ユーロドルは昨日高値1.0645ドル、ポンドドルも昨日高値1.2143ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドルは1月6日安値1.0484ドル、ポンドドルが2月17日安値1.1915ドル。


(小針)
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