ロンドン為替見通し=ポンドドル、英小売指標を見極め 景気減速懸念が高まるか

 本日のロンドン為替相場では、まずは序盤に発表される7月英小売売上高に対するポンドの反応を見極めたい。昨日以降ドル売りポンド買い戻しの流れが進んでいるものの、英景気の不安要素ともなり得るため注意が必要だろう。

 今週発表された英賃金やインフレデータは予想より強い結果が目立った。特に4-6月の週間平均賃金(除ボーナス)は、前年比7.8%まで加速して市場を驚かせた。イングランド銀行(英中銀、BOE)の引き締め長期化への思惑が強まっているが、金利高による景気減速懸念もより一層高まっている。ローン金利の上昇で個人消費意欲が減退していると言われるなか、7月小売売上高は前月比、前年比ともにマイナス予想だ。結果が見込み通りであった場合でも、同様の指標がプラス予想を更に上回った米国との差が目立ちそうだ。

 欧州昼前には、改定値ではあるが7月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)が発表予定。速報値から変わらず前年比5.3%と、緩やかではあるもののインフレ鈍化基調を確認することになりそう。ただ欧州中央銀行(ECB)のインフレ目標2%への回帰はまだ先であり、引き締めスタンスの維持はまだ暫く続くだろう。5.5%予想の前年比コアがもし上振れともなれば、据え置きが見込みの9月ECB理事会に対する市場の見立てに変化があるかもしれない。

 ほか、長期化するウクライナとロシアとの戦争を巡る地政学リスクには依然として警戒か。日本時間午前、露首都モスクワの中心部でウクライナからとみられるドローンが撃墜された。ウクライナは軍事用ドローンの国内生産を拡大しており、今後も同じような攻撃が続くことが予想される。またそれに対するロシア側の反撃も激化し、事態は泥沼化してしまうのではないか。

想定レンジ上限
・ポンドドルは日足一目均衡表・雲の上限1.2861ドル
・ユーロドルは日足一目・転換線1.0961ドル

想定レンジ下限
・ポンドドルは90日移動平均線1.2649ドル
・ユーロドルは200日移動平均線1.0791ドル

(小針)
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