東京為替見通し=ドル円は米10年債利回り上昇で堅調推移、円買い介入には要警戒か

 21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが一時4.3518%まで上昇したことで、日米金利差拡大への思惑から146.40円まで円売り・ドル買いが進行した。ユーロドルは、独長期金利の動きにつれて1.0914ドルまで上昇後、1.0875ドル付近まで下押しした。ユーロ円はドル円の動きに連れて159.40円まで強含んだ。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇を受けて堅調推移が予想されるものの、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には要警戒となる。

 本邦通貨当局は、昨年3回、ボラティリティー抑制を名目にしたドル売り・円買い介入を断行したが、円買い介入は、ボリンジャー・バンド+2σ付近で行われ、介入後の安値は日足一目均衡表・基準線付近だった。本日の高値の目安となる+2σ水準は147.30円付近、安値の目安となる基準線は142.13円となっている。
 すなわち、ドル円が、25日のジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演に向けて上昇基調を辿り147円台に乗せるような局面では、ボラティリティーの抑制を名目にした本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性が高まることになる。

 昨年のジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演では、金融引き締めを「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べ、利上げを継続する姿勢を鮮明にする超タカ派的な内容だった。
 今年のパウエルFRB議長の講演では、7月米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見での発言「9月会合では追加利上げも、現状維持もあり得る。今後の金融政策は、経済指標次第」からのバイアスの変化を見極めることになる。

 注目は、パウエルFRB議長がNY連銀のレポート「パンデミック後の短期的自然利子率(Rスター)の進展」について、どのような見解を示すかによる。タカ派的なシナリオは、短期的な中立金利の上昇の可能性に、肯定的な見解を示した場合であり、9月FOMCでの追加利上げ観測が高まることになる。一方で、否定的な見解だった場合は、ハト派的シナリオとなり、9月FOMCでの据え置き観測が高まることになる。

 さらに、7月の米消費者物価指数(CPI)が前年比+3.2%と6月の同比+3.0%から13カ月ぶりに上昇し、失業率も3.5%へ低下していたことで、9月FOMCでの追加利上げに言及する可能性が高まりつつある。



(山下)
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