週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、経済指標に左右

◆豪ドル、CPI・民間設備投資など複数の経済指標発表で動意付く可能性
◆豪ドル、引き続き中国経済の動向で左右
◆ZAR、BRICS後の西側諸国の対応に注意

予想レンジ
豪ドル円 90.00-96.00円
南ア・ランド円 7.50-8.00円

8月28日週の展望
 豪ドルは経済指標に一喜一憂する展開となりそうだ。今週は豪州から主だった経済指標の発表が無かったこともあり、豪ドルはトレンドをつかむのが難しい動きだった。ただ、9月5日の豪準備銀行(RBA)理事会を前に、来週は豪州から多くの経済指標が発表され、指標の結果次第で動意付く可能性が高い。

 来週は28日に7月小売売上高、29日にブロックRBA副総裁講演、30日に7月住宅建設許可件数と消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、31日には国内総生産(GDP)を形成する要素の1つである4-6月期民間設備投資などが予定されている。注目度が高いCPIは、昨年末に前年比で8.4%まで上昇したが、年明けには7%台、そして5月には5.6%、6月は5.4%まで低下。RBA議事要旨でも「これまでの大幅な引き締めが意図したとおりに機能している兆候がある」と公表されたように、中銀の思惑通りにインフレが抑えられている傾向が示された。しかし、前月のRBA理事会では利上げも検討されていたように、インフレが再び上昇傾向を辿った場合は、来月の理事会で再利上げの可能性もある。豪ドルは指標結果次第で上下しそうだ。

 また、豪ドルは中国経済の動向にも左右されるだろう。今週に入り、中国は1年物の最優遇貸出金利(LPR)を引き下げたが、住宅ローン金利の目安である5年超のLPRは据え置いた。中国が新たな景気刺激策を示すことが出来ず、31日に予定されている8月製造業購買担当者景気指数(PMI)も低下した場合は、中国株安からの豪ドル売りには注意が必要となる。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は下落リスクに警戒したい。ZARは今週開催された新興5カ国(BRICS)首脳会議の間は強含んだが、BRICS後の西側諸国の対応次第では、南アとしてこれまでの中立姿勢を保てないリスクがある。ラマポーザ南ア大統領は、中露の米国批判には同調していないが、与党アフリカ民族会議(ANC)の幹部からは、ロシアやキューバ要人との会談後に反米と捉えられる言動も見受けられた。西側諸国による南アに対しての制裁には注意が必要であり、恩恵を受けていたアフリカ成長機会法(AGOA)などの除外リスクには備えておきたい。なお、来週は、南アからは23日に7月の卸売物価指数(PPI)と貿易収支が発表される。

8月21日週の回顧
 豪ドルは対ドル・対円ともに小高く推移した。週初は米10年債利回りが2007年11月以来の水準まで上昇したことで、豪ドル売り・ドル買いに動く場面もあった。しかし、週末のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を前に、徐々に米金利が低下し始めたことや、底堅さを取り戻した株式市場の動きを支えに、リスク選好の動きに敏感な豪ドルは買い戻しが優勢となった。

 ZARは対円で小幅高、対ドルでほぼ横ばいだった。BRICS首脳会議で、多くの参加国が通商面でドルを介さず、自国通貨での取引へシフトすることに賛成したことなどが支えになった。なお、7月の南アCPIは市場予想よりも大幅に低下した。(了)
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