週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、利上げサイクル近く終了か

◆豪ドル、RBAが予想外の金利据え置き
◆豪ドル、RBA新総裁の下で利上げサイクルも終わりが近づくとの見方
◆ZAR、リスク回避基調が継続するか見極める必要

予想レンジ
豪ドル円 90.00-96.00円
南ア・ランド円 7.40-8.00円

8月7日週の展望
 豪ドルは上値の重い展開となりそうだ。1日に公表された豪準備銀行(RBA)の金融政策は市場予想(4.35%への利上げ)に反して、金利据え置きとなった。声明文では「インフレ率は低下しているが、依然として高過ぎる」「今後の経済・インフレ次第だが、さらなる引き締めが必要になるかもしれない」などの見解が示された。
 
 声明文は総じて前回とほぼ同様の内容となったが、RBAの利上げサイクルは終わりに近づいているとの思惑が広がり、短期金融市場では利上げ織り込み度が低下。年内にあと1回の利上げを幾分織り込む程度となっている。一部市場では9月18日にRBAの新総裁に就任する予定のブロックRBA副総裁はロウ総裁よりも「ややハト派側のスタンスではないか」との見方もあり、金利先高観の後退は対ドルなどで豪ドルの重しとなりそうだ。

 なお、来週は豪州から8日に8月ウエストパック消費者信頼感指数や7月NAB企業景況感指数などの発表が予定されているが、相場への影響は限られる見込み。10日に7月米消費者物価指数(CPI)の発表が控えていることもあり、基本的には米インフレ動向をにらみながら、ドル相場などの推移に振らされることになるだろう。

 隣国ニュージーランド(NZ)からは来週、主だった経済指標の発表が予定されていないことから、市場の注目は16日に公表されるNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策へと徐々に移行していく見込み。市場参加者が夏季休暇入りし始めることもあり、金融イベントを前に積極的な売買は手控えられるかもしれない。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開となりそうだ。南アフリカでは9日が女性の日の祝日で休場となるものの、その他に目立った指標・イベントなどは予定されていない。フィッチによる米格下げを受けて世界的に株安の流れが強まったことは、市場のリスク志向全般に左右されやすいZARにとってマイナス要因。足もとで米金利が大きく上昇している影響もあって対ドルを中心にZAR安が進んでおり、現在のリスク回避基調がどこまで続くかを見極める必要があるだろう。

7月31日週の回顧
 豪ドルは上値の重い動き。週初の7月31日こそリスクオンの流れに沿って買い先行となったが、その後は米金利の上昇を受けて対ドルを中心に伸び悩んだ。米格下げ報道が伝わった2日以降は投資家がリスク回避姿勢を強めたことで、リスクに敏感な豪ドルは売りに押される展開に。RBAが市場の利上げ予想に反して金利据え置きを決めたことも相場の重しになった。
 
 ZARは軟調推移となった。足もとでZAR買いが進んでいた反動もあり、週初から持ち高調整目的とみられるZAR売りが先行した。その後は米金利上昇の影響で対ドルを中心に売りが加速。同時に欧州株安も進んだことで対円でも次第に売りが強まった。(了)
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