週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、CPI低下で上値は重い

◆豪ドル、5月CPIの大幅低下で上値は限られそう
◆RBA理事会、据え置き予想も声明文などに注目
◆ZAR、中長期的には不安要素多い

予想レンジ
豪ドル円 92.00-98.00円
南ア・ランド円 7.60-7.90円

7月3日週の展望
 豪ドルは上値が限られそうだ。今週発表された豪州の5月消費者物価指数(CPI)が市場予想の6.1%や4月の6.8%を大幅に下回る5.6%になった。この結果を受けて豪債利回りが低下したほか、7月の豪準備銀行(RBA)の利上げ予想が大幅に後退した。インフレ警戒感が根強い米国との金融制政策の方向性の違いが、豪ドル/ドルの重しになりそうだ。また、日銀は低金利政策を維持しているが、6月の日銀金融政策決定会合における主な意見では「(コアCPIは)年度半ばにかけ低下していくものの、2%を下回らない可能性が高い」と示された。今後のイールドカーブコントロール(YCC)の上限引き上げの思惑が高まれば、豪ドル円は上値が抑えられる可能性がある。

 この状況下、7月4日にRBA理事会が行われる。市場予想通り金利が据置かれた場合でも、声明文には注意しておきたい。先月の理事会では、利上げと据え置きの主張が拮抗するなかで利上げに踏み切った。今回はメンバーの投票配分などにも注目が集まりそうだ。また、前日7月3日には6月のメルボルン・インスティテュート・インフレ率が発表されることにも注目。2大都市のひとつであるメルボルンのインフレ進行具合が、5月同様に低下するのか、または再び上昇するかにより、翌日の理事会に影響を与えそうだ。

 なお、7月3日には5月住宅建設許可件数、7月6日には貿易収支が発表される。その他では、中国の株式市場や人民元(CNH)の動向も豪ドルの動きを左右するだろう。今週はCNH安に対して中国人民銀行が元買い介入を行ったとされ、一時元安に歯止めがかかった。中国株も反発する場面があったが、再び元は年初来安値を更新しただけでなく、景気低迷のなかで市場が期待するような経済対策が表明されていない。中国経済の動向は、リスクの動きに敏感な豪ドル相場に影響を与えている。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はもみ合いとなりそうだ。電力の計画停電(負荷制限)の水準がやや弱まっていること、株式市場が堅調な動きを見せていることがZARの支えになっている。もっとも、国内の金融機関が今年の成長率を0.1%上昇に下方修正するなど、南ア経済に対しての不安要素は全くぬぐえていない。また、ロシアとの深い関係を継続していることによる制裁の可能性も引き続き警戒しなければならず、中長期的にはZARにとってはネガティブな予想が多い。来週は南アからは主だった経済指標の発表が無いが、主要国の株式市場の動向などがZAR相場を動かすことになりそうだ。

6月26日週の回顧
 豪ドルは上値が抑えられた。5月の豪CPIが大幅に低下したこともあり、対円・対ドルともに軟調な動きとなった。中国による元買い介入で一時豪ドルが支えられる場面もあったが、再び元が対ドルで年初来安値を更新したことも豪ドルの重しになった。もっとも、対円ではドル円の上昇もあり値幅は限られた。

 ZARはもみ合いとなった。ドル円が昨年11月以来となる水準まで上昇したことが支えとなり、ZAR円も強含む場面もあったが値動きは限られた。(了)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。