週間為替展望(豪ドル/ZAR)-NZ、金利先高観は大きく後退

◆豪ドル、CPIで6月利上げの可能性を見極め
◆NZドル、利上げ打ち止め示唆で下落
◆ZAR、中銀がさらなる通貨安の可能性を指摘

予想レンジ
豪ドル円 89.00-93.00円
南ア・ランド円 6.65-7.30円

5月29日週の展望
 豪ドルは神経質な展開となりそうだ。足もとでは米金融引き締め長期化観測の高まりと、それに伴う株安が進んでいるため、豪ドルは対ドル・対円でともに買いを進めづらい状況となっている。来週以降も情勢の変化が見られなければ豪ドルは伸び悩むと予想され、米金利・株価の動向には引き続き注意しておきたい。

 一方で、31日は4月消費者物価指数(CPI)の発表が控えており、結果次第では豪ドルの買い戻しが入る可能性もある。市場では「豪準備銀行(RBA)の追加利上げの可能性は否定できないが、6月は金利が据え置かれる」との思惑から、現在は6月利上げをほぼ織り込んでいない状態。そのためCPIは強い結果となった方が相場へのインパクトが大きくなりそうだ。

 その他では30日に4月住宅建設許可件数、6月1日に1-3月期四半期民間設備投資の発表が予定されているが、週後半になれば市場の焦点も翌週(6月6日)のRBA金融政策発表へと移っていくだろう。

 隣国ニュージーランド(NZ)では30日に4月住宅建設許可件数、31日に5月ANZ企業信頼感が発表予定。今週公表されたNZ準備銀行(RBNZ)の政策金利は市場の予想通り5.25%から5.50%への利上げとなったが、声明文で追加利上げに対する言及はなく、見通しでも「現水準で金利はピーク」との見方が示された。米国や豪州などが追加利上げの可能性を残していることもあり、今後は対ドル・対豪ドルでも金利先高観という点で不利な状況に置かれるだろう。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はさえない展開が続きそうだ。25日に南アフリカ準備銀行(SARB)は市場予想通りに50bpの利上げ(7.75%から8.25%へ)を決定。声明文では「コアの財・食品価格の短期的な上昇が予想されるため、今年の総合インフレ見通しを上方修正した」「インフレの上方リスクや電力不足などを踏まえると通貨安が一段と進む可能性がある」などと言及。前日に公表された4月消費者物価指数(CPI)ではインフレ率が鈍化したものの、中銀は依然としてインフレリスクへの警戒姿勢を崩していないことが明らかになった。

 国内景気の低迷が続く中でインフレ懸念が高まったことにくわえ、中銀がさらなる通貨安の可能性を指摘したこともあり、今後もZARは対ドルを中心に売り圧力が強まることになりそうだ。なお、南アフリカからは来週31日に4月貿易収支の発表が予定されている。

5月22日週の回顧
 豪ドルは伸び悩む展開となった。週明け22日には買いが入る場面もあったが、その後は米金融当局者からタカ派発言が相次いだことで全般ドル買いが強まるなか、豪ドルも対ドルを中心に戻り売りに押された。ZARはさえない動き。対円ではドル円の上昇につれて底堅く推移していたものの、25日のSARB金融政策公表後は売りに押される展開に。対ドルでもZAR売りが強まり、過去最安値を更新した。(了)
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