週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ZAR、利上げ予想も反応は不透明

◆NZドル、来週の利上げは織り込み済み、注目は声明文
◆ZAR、50bp利上げ予想も買い材料となるか不透明

予想レンジ
豪ドル円 89.00-93.00円
南ア・ランド円 6.65-7.30円

5月22日週の展望
 豪ドルは神経質な展開となりそうだ。16日に公表された5月分の豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では「さらなる利上げが依然として必要な可能性があるが、それは経済とインフレの展開次第だという点で一致した」などの見解が示された。もっとも、その後に公表された1-3月期四半期賃金指数はほぼ市場予想通りとなったほか、4月豪雇用統計は予想より弱い内容だった。これらの結果を踏まえて市場では「追加利上げの可能性は否定できないが、6月は金利が据置かれる」との思惑が拡大しつつあり、短期金融市場でも6月利上げはほぼ織込んでいない状態となっている。豪金利先高観が相場の支えとならない以上、豪ドルは市場全般のリスク志向の行方に左右されることになるだろう。来週は米国で4月PCEコア・デフレーターなどの重要指標が控えていることもあり、株価や金利動向などの反応をにらみながらの神経質な展開となりそうだ。なお、豪州からは26日に4月小売売上高の発表が予定されている。

 また、米国の債務上限問題を巡る協議の行方にも引き続き注意が必要だ。今週に入って楽観的なムードが広がりつつあるものの、協議の決着がつくまで油断は禁物。前向きな協議が続いていても、米政府のデフォルト(債務不履行)が訪れるとされる6月1日が迫れば市場の緊張も高まることが予想される。

 隣国ニュージーランド(NZ)では、24日に1-3月期四半期小売売上高やNZ準備銀行(RBNZ)の政策金利が公表予定。市場では追加利上げ(現行の5.25%から5.50%へ)が予想されており、短期金融市場でも25bpの利上げは織り込み済みだ。市場の注目は声明文の内容に集まっており、追加利上げの可能性が示唆されればNZドルの下支え要因となりそうだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はさらなる下落に警戒が必要となるだろう。電力不足問題はさらに悪化。「国内唯一の原子力発電所のメンテナンスが遅れている」との報道が伝わったほか、国営電力会社エスコムは計画停電の規模が最大の「ステージ8」となる可能性を指摘。一部からは「今後数週間以内に全国規模の停電に陥る可能性がある」との声も聞かれている。また、ロシアへの武器供与を巡る米国との緊張も完全に解消されたとはいえず、ZARのネガティブ材料は山積している。25日には南アフリカ準備銀行(SARB)の政策金利発表が控えており、市場では50bpの利上げ(現行の7.75%から8.25%へ)が予想されているが、景気低迷の中での利上げとあって、ZARの下支えとなるかは不透明な状況だ。

5月15日週の回顧
 豪ドルはまちまちな動きとなった。対ドルでは週初の15日こそ買い先行となったものの、その後は次第に伸び悩む展開に。一方、対円では年初来高値を更新したドル円につれて底堅く推移した。
 ZARはさえない動き。対ドルでは12日につけた過去最安値を再びうかがう展開となったほか、対円でも買い戻しこそ入ったが、総じて戻りの鈍さが目立った。(了)
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