週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、金利据置きが重しに

◆豪ドル、政策金利据え置き決定で上値は限定的
◆金融システムに対する不安も重しに
◆ZAR、原油減産の影響を注視

予想レンジ
豪ドル円 85.00-90.00円
南ア・ランド円 7.00-7.40円

4月10日週の展望
 豪ドルは、上値が限られそう。今週行われた豪準備銀行(RBA)理事会では、金融引き締めから据え置きへと転じた。RBAは「利上げの効果がまだ十分に現れていないことで、これまでの金利上昇の影響と経済見通しを評価するための追加的な時間を提供するため据え置いた」とした。また、「金利上昇、生活費への圧力、住宅価格下落の組み合わせが、家計支出の大幅な鈍化を招いていることを示す証拠があった」との見解も示された。

 この声明文の内容は、2月に行われた豪上院の議会証言でロウRBA総裁が複数の上院議員に指摘され、批判の矢面に立たされた内容そのものである。RBA総裁よりも政治家の方が経済状況の進展を早めに認識していたという皮肉な声も出ている。また、政治的な圧力に屈したと捉えている向きもある。2月には辞任圧力も高まった総裁だが、7月までの任期を全うすることを目指しているだけでなく、「その後3年の任期延長を望んでいる」との声もあり、任期延長に向けての動きとなったのかもしれない。

 来週は、複数の経済指標が発表されるが、注目されるのが13日の豪雇用統計。RBAは、労働市場は労働力不足が緩和されているが、多くの企業は引き続き雇用の難しさを経験し、「労働市場はタイト」と捉えている。経済成長が鈍化するにつれ、失業率は上昇するとの予想も立てているが、遅行指標でもあり反映されるのはまだ先になる可能性もある。その他では、11日に4月のウエストパック消費者信頼感指数、3月NAB企業信頼感および企業景況感、12日にブロックRBA副総裁の講演が予定されている。

 なお、国外要因ではJPモルガンチェースのダイモン最高経営責任者(CEO)が「米国の銀行危機はまだ終了していない(Not Over Yet)」と発言するなど、金融システムに対する不安も完全に払拭されておらず、リスク回避の動きが広がった場合には豪ドルの重しになりそうだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)の上値は限定的か。南アフリカ準備銀行(SARB)による大幅利上げでのZAR買い相場はほぼ終わった感がある。市場では、石油輸出国機構(OPEC)プラスの減産による新興国への経済的影響が懸念されており、再びZARには売り圧力が増しそうだ。今月の南ア国内エネルギー基準価格はディーゼル価格が大幅に値下げされ、ガソリン価格はほぼ横ばいとなった。しかしながら、5月は原油減産により再び国内基準価格の上昇が予想されている。特に、これから冬季を迎える南アにとってはインフレ高進が大きな痛手。ZARの重しになりそうだ。

4月3日週の回顧
 豪ドルは対円、対NZドルでは弱含み、対ドルではほぼ横ばいだった。RBAが予想通りに政策金利を据え置いたことが豪ドルの上値を抑えた。また、米経済指標が相次いで弱い結果となったことで、リスク回避の動きから豪ドル円は下落。RBNZの予想以上の利上げを受けて豪ドル/NZドルは年初来安値を更新した。
 ZARは週初こそ先週の大幅利上げで堅調に始まったが、リスク回避の動きになると、週後半は軟調に推移した。利上げ後の上げ幅を1週間ですべて吐き出した。(了)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。