週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、神経質な展開

◆RBA、追加利上げの公算が高まる
◆豪ドル、5月分のRBA理事会議事要旨に注目
◆ZAR、対ドルでは重要な安値目処が間近に

予想レンジ
豪ドル円 87.50-92.50円
南ア・ランド円 6.65-7.40円

5月15日週の展望
 豪ドルは神経質な展開となりそうだ。豪準備銀行(RBA)は2日に開催された金融政策決定理事会で、据え置きとの市場予想に反して25bpの利上げ(3.60%から3.85%)を決定した。声明文でも「インフレ率は依然として高すぎる」「金融政策の一層の引き締めが必要になるかもしれない」などと言及するなど、追加利上げの可能性を否定しなかった。また、5日に公表された四半期金融政策報告でも追加利上げについて言及。利上げ局面の終了も視野に入れていた市場は軌道修正を迫られる格好となり、短期先物市場では夏頃までの追加利上げを織り込みつつある。

 一方、米国では2-3日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通りに25bpの利上げを実施したが、声明文から追加利上げに関する文言を削除。次回以降の利上げ打止めの可能性が意識されている。

 これまでの米・豪金利差拡大への思惑が巻き戻されたことで、両国の金融政策公表後は対ドルを中心に豪ドル買いが進んだが、今後も豪ドル買いが継続するかに関しては慎重に見極める必要があるだろう。米国では債務上限問題を巡って景気減速への懸念も高まりつつあり、世界的なリセッション入りへの警戒感が強まれば、リスクに敏感な豪ドル買いを進めにくくなる可能性も出てくる。米政府のデフォルト(債務不履行)は早ければ6月1日にも訪れるとされており、期限が迫る中でバイデン米大統領と米共和党議会指導部との交渉の行方には注意が必要となる。

 なお、経済指標では16日に5月ウエストパック消費者信頼感指数や5月分のRBA理事会議事要旨、17日に1-3月期四半期賃金指数、18日に4月雇用統計が公表予定。特にRBA議事要旨では6月以降の金融政策について新たなヒントが得られるか注目しておきたい。隣国ニュージーランド(NZ)では、18日に1-3月期四半期卸売物価指数(PPI)、19日に4月貿易収支が発表される。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はさえない動きとなりそうだ。南アフリカ独自の材料は乏しいものの、市場全般でリスクオフの動きが強まりつつある。今週、対ドルで2020年4月以来の安値を更新したZARは、一段と下落余地が拡大している。ドル円の上昇分で相殺することが難しくなれば、対円でもさらに下値を探る動きとなる可能性が高まるだろう。なお、来週は16日に1-3月期四半期失業率、17日に3月小売売上高の発表が予定されている。

5月8日週の回顧
 豪ドルは上値の重い動きとなった。週初は底堅く推移していたが、米債務上限問題の不透明感や米金融システム不安が再浮上したほか、さえない米経済指標などを受けて次第にリスク回避目的の売りが強まった。

 ZARは軟調に推移した。米国などの景気後退懸念が意識されたことでリスクオフムードが強まり、資源国通貨は全般に下げが目立った。対円で年初来の安値を更新。対ドルでも2020年4月以来の安値を更新し、同月につけた重要な安値目処(19.35ZAR台)に迫る水準まで売りに押された。(了)
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