週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、雇用改善で堅調

◆豪ドル、雇用統計改善で堅調推移
◆豪ドル、米中関係改善すればさらに強含む可能性も
◆ZAR、制裁リスクには引き続き警戒

予想レンジ
豪ドル円 94.00-99.00円
南ア・ランド円 7.30-7.90円

6月19日週の展望
 豪ドルは堅調地合いを維持できるかに注目。今週発表された5月豪雇用統計は、失業率が予想や前回の3.7%から3.6%まで低下し、新規雇用者数も大幅に増加。中でも常勤雇用者の増加が目立つなど、軒並み好結果となった。チャーマーズ豪財務相はこの結果を「驚くべき成果」としたものの、依然として今後の失業率の悪化を予想している。しかし、市場では予想外の6月の豪準備銀行(RBA)理事会での利上げに続き、インフレ抑制のために、「更なる利上げを7月に行う可能性がある」との声が多くなりつつある。再利上げに踏み切れば、今週政策金利を据え置いた米連邦準備理事会(FRB)や、利上げにはある程度の時間を要すると思われる日本銀行との金融政策スタンスの方向性の違いが鮮明となる。豪ドルは対ドル、対円ともに堅調な動きをみせそうだ。

 また、豪ドルを支える別要因としては、ブリンケン米国務長官が訪中するなど、西側諸国と中国との関係が改善する可能性がある。中国との経済関係の結びつきが強い豪州にとっては好要因になり、更に豪ドルが強含む可能性もあるだろう。

 来週のイベントでは、20日にRBA理事会の議事要旨(6日分)が公表される。また、同日にはケントRBA総裁補佐、ブロックRBA副総裁が相次いで講演やパネルディスカッションに登壇する。豪雇用統計後にRBAの要人が発言するのは初めて。これまでの見解に変化があるかに注目したい。経済指標では、21日に5月のウェストパック景気先行指数が発表される。なお、隣国のニュージーランドからは、22日に5月貿易収支が発表予定。

 南アフリカ・ランド(ZAR)の上値は限定的となりそうだ。ZARは6月に入り底堅さを見せているが、米国による制裁が現実味を帯びていることから、下サイドのリスクが高まっている。米国では、アフリカ成長機会法(AGOA)の適応を除外する書簡が正式に提出された。これらの扱いいついては、これまで米政府は長期にわたり様子見姿勢をとっているが、超党派の議員がロシアと親交を深めている南アに対して厳しい行動を求めている。南アはAGOAにより、数千の商品に対して米国市場への免税アクセスが提供されているが、適用除外となった時の経済的な損失は甚大だ。南アの輸出は欧州連合(EU)と米国に依存しており、全輸出の約30.4%を占めている。南アに制裁措置が下った場合のZARに対する影響は大きくなりそうだ。
 なお、経済指標では、21日に発表の5月消費者物価指数(CPI)に注目が集まる。

6月12日週の回顧
 豪ドルは堅調な動きとなった。米金利の上昇や堅調な株価が支えとなりドル円が強含んだこともあり、対円では96円後半まで連れ高となり、昨年9月以来の水準まで上昇した。対ドルでも今年2月以来となる0.68ドル後半まで上伸した。ZARは6月1日に対ドルで過去最安値を更新した以降は調整の買い戻しが優勢となったが、この傾向は今週も続いた。対円では一時7.73円、対ドルでは18ランド前半までランド買いが進んだ。(了)
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