株式明日の戦略-半導体株が買われて大幅高、調整一巡期待が高まる

 28日の日経平均は大幅反発。終値は545円高の32169円。25日の米国株がジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長の講演を消化して上昇したことから、大幅高スタート。300円近く上昇して寄り付きから31900円台に乗せると、その後も上値を伸ばした。前営業日に大きく下げた半導体株にも押し目買いが入って節目の32000円を超えると、前場のうちに上げ幅を500円超に拡大。後場は前場と違って動意が限られたものの、終盤に32200円台に乗せる場面もあるなど、高値圏でのもみ合いが続いた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆8900億円。業種別では機械、石油・石炭、鉄鋼などが大幅上昇。空運と小売の2業種が下落し、陸運が小幅な上昇にとどまった。SBIホールディングス<8473.T>による株式の追加取得が好感されたメディカル・データ・ビジョン<3902.T>が急騰。半面、上期が大幅な減益となったタカショー<7590.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1508/値下がり276。レーザーテックが7%を超える上昇となったほか、ソシオネクスト、ディスコ、東京エレクトロンなど半導体株が大幅上昇。証券会社が投資判断を引き上げたダイキンが4%超上昇した。為替が円安に振れたことから、マツダ、ホンダ、SUBARUなど自動車株が軒並み大幅高。経産省が電気自動車充電設備の設置目標を倍増させると伝わったことからエネチェンジやモリテックが関連銘柄として買いを集め、エコモットがストップ高比例配分となった。

 一方、原発処理水の放出に対して中国で非難行動が出てきたことから、インバウンド関連が軒並み嫌われる展開。訪日需要減退懸念からJAL、ANAの空運2社が象徴的に売られたほか、「爆買い」期待の後退から高島屋、三越伊勢丹、松屋など百貨店株が大幅安となった。ラオックス、パンパシ、マツキヨココカラなど中国人訪日客に人気の小売株が弱く、資生堂やコーセーなど化粧品株も全般軟調。インバウンド関連以外では、日経新聞で低価格路線の維持に苦しんでいると特集されたサイゼリヤの下げが目立った。

 日経平均は大幅高。25日の下げの全戻しとまではならなかったが、半導体株にもしっかり買いが入っており、調整一巡への期待を高めた1日であった。金利動向次第では半導体株も改めて売られる可能性はあるが、レーザーテックなどはきょうは日計りでも利益が出るくらい上に値幅が出ている。こういった動きが出てくれば、25日のように半導体株を銘柄問わず短期間で集中的に売り込むことはしづらくなる。

 きょうは半導体株の上昇が目立ったが、ほかでは機械株や鉄鋼株などバリュー寄りの業種が強かった。米国の長期金利が高止まりしているという点からは、半導体株よりもこれらの業種の方が買い安心感がある。どちらも中国関連と捉えられやすい業種だが、インバウンド株が中国リスクを嫌気して売られる中でも強い買いが入った。半導体株も含めて、きょうの動きが良かった銘柄は目先で選好されやすくなる可能性があるだけに、これらのあす以降の動向にも注目しておきたい。
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