株式明日の戦略―32500円台に乗せるも失速、米金利にらみの状況が続く

 30日の日経平均は3日続伸。終値は106円高の32333円。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1000/値下がり740。米国で金利低下を受けて半導体株が買われたことから、ディスコやソシオネクストが大幅高。金利低下が逆風になるかと思われた三菱UFJや三井住友など銀行株が、商いを伴って強い動きを見せた。売出価格が決定した芝浦メカが買いを集めて12.4%高。前23.4期が営業黒字に転換したビジョナリーや、ホタテ加工企業の子会社化を発表したヨシムラフードが急騰した。

 一方、米長期金利低下を受けても三井不動産や東急不動産など不動産株が軟調。指数寄与度の大きいファーストリテイリングとソフトバンクGが下落した。海運大手の日本郵船、商船三井、川崎汽船は、そろって終盤にかけて売り込まれた。ライフネット生命は三井住友カードなどの出資観測が報じられたが、増資観測の方が嫌気されて急落。昼休みには報道に沿ったリリースが会社から出てきたが、反転材料にはならなかった。

 本日、グロース市場に新規上場したインバウンドプラットフォームは、高い初値をつけた後に強く買われる場面もあったが、終値は初値を大きく下回った。

 日経平均は前場と後場で流れが変わった。寄り付きから大幅高となり25日線(32262円、30日時点)も明確に上回っただけに、前場の貯金を後場に取り崩したのはさえない動き。米金利低下を受けて半導体株に資金が向かったが、主力のアドバンテストと東京エレクトロンは1%未満の上昇にとどまった。業種別では銀行が騰落率トップとなっており、米国動向を受けた物色としては違和感がある。

 米国では本日、8月のADP全米雇用リポートが出てくる。前日に市場予想を下回るJOLTS求人件数が米国の長期金利を大きく低下させただけに、続いて出てくる雇用データに対する反応は注目される。これを受けて米国の長期金利が一段と低下するようなら、金曜に出てくる米8月雇用統計に対する警戒は相当和らぐ。逆に大きく上昇するようであれば、29日の米債券市場は振れ幅が大きくなっただけとの見方が強まり、雇用統計がリスクイベントとして強く意識される。日経平均は上値は抑えられたとはいえ、3日続伸とここまでの動きは悪くない。大きく崩れることなく25日線より上を維持できるかがあすの焦点となる。
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