株式明日の戦略-月曜火曜の上昇分を消失、あすは米CPIの発表を前に様子見か

 9日の日経平均は4日ぶり反落。終値は172円安の32204円。米国株安を受けて下げて始まると、前場では押しては戻しといった動きを繰り返し、プラス圏とマイナス圏を行き来した。前場を3桁の下落で終えると、後場はマイナス圏が定着。下げ幅を200円超に広げたところでは下げ渋り、13時を過ぎた辺りからはしばらく持ち直し基調が続いたが、引けにかけて売り直されて安値圏で終了した。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆8400億円。業種別では空運、その他製品、医薬品などが上昇した一方、鉱業、ゴム製品、機械などが下落した。1Qが大幅な営業増益となった鹿島建設<1812.T>が後場急騰。半面、通期の営業利益見通しを引き下げた石油資源開発<1662.T>が後場に崩れて大幅安となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり763/値下がり1004。レーザーテックが連日の大幅上昇。前日に弱かったアドバンテストやソシオネクストが強く、半導体関連の動きの良さが目立った。通期の利益見通し引き上げや株主還元強化を発表した神戸鋼が12.5%高。アシックス、タカラトミー、レオパレス21が決算を材料に急騰し、1Qの営業利益が前年同期比4割増となったミズノがストップ高となった。ほか、中国政府が日本への団体旅行を解禁する可能性があるとの観測が伝わったことから、三越伊勢丹、JAL、西武HDなどインバウンド関連に資金が向かった。

 一方、1Qが大幅な減益となったニコンが11.2%安。決算を材料にキリンHDやNTTデータが大幅安となり、ダイキン、ダイフク、タカラバイオが2桁の下落率となった。1Qが最終赤字となったソフトバンクGは、アームの米ナスダック上場観測などもあって序盤では買われる場面もあったが、終わってみれば3%を超える下落。米国でムーディーズが地銀株を格下げして米国株にも弱い動きが見られたことから、三菱UFJやみずほFGなど銀行株が売りに押された。

 本日、グロース市場に新規上場したJRCは、公開価格を下回る初値をつけ、終値も初値を大きく下回った。

 日経平均は4日ぶり反落。きょうの下落で月曜と火曜の上昇分がほぼ消失しており、強弱感が交錯する中、ニュートラルな状態に引き戻された格好。あす、米国では7月の消費者物価指数(CPI)が発表される。国内は金曜11日が休場で、この結果を確認する前に三連休に入る。米国の物価指標は減速傾向にあり、傾向通りならCPIは米国株の買い材料になると思われる。ただ、CPIが予想外に強かった場合には、ネガティブサプライズとなって米国株が崩れる展開も想定される。CPIが米国株、長期金利、為替を大きく刺激する可能性があるだけに、あすの日本株は様子見姿勢が強まると予想する。週足チャートでは、きょうの終値(32204円)では13週線(32263円、9日時点)をわずかながら下回っている。明確に割り込んでしまうとチャート形状が悪化して手じまい売りが出やすくなることから、同水準を意識した動きが見られるかに注目したい。
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