株式明日の戦略-米金利上昇に対する警戒が高まる、来週は米CPIに要注目

 7日の日経平均は大幅に4日続落。終値は384円安の32388円。米国で長期金利が大きく上昇し、米国株にも弱い動きが見られたことから、300円超下げて始まった。そこから下げ幅を400円超に広げるも、32300円台に突入して直近安値に接近したところでは切り返した。前日ストップ安比例配分となったソシオネクスト<6526.T>が大幅安スタートから鋭角的に切り返したことで、前日に売り込まれたグロース株などに見直し買いが入った。下げ幅を2桁に縮めて32700円台に乗せた後は買いが続かず失速し、しばらく32600円近辺でのもみ合いが続いた。大引け値でETF分配金ねん出目的の売り需要が発生することが嫌気されたか、14時台半ば辺りからは下げ幅を拡大。32500円を下回り、大引けが後場の安値となった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆8100億円。業種別ではプラスは海運と空運の2業種のみで、陸運が小幅な下げにとどまった。一方、機械、不動産、輸送用機器などが大きめの下げとなった。ソシオネクストが乱高下しながらも後場はプラス圏が定着して3.1%高。値動きが注目を集め、売買代金は全市場でトップとなった。半面、エーザイ<4523.T>は、米バイオジェンと共同開発した認知症新薬「レカネマブ」が米食品医薬品局(FDA)からの正式承認を受けたことが伝わったが、目先の材料出尽くしと受け止められ、4.7%安と大きく売られる展開となった。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり456/値下がり1312。川崎汽船や商船三井が地合いの悪い中で逆行高。西武HD、京浜急行、東急など鉄道株に上昇銘柄が多かった。好業績が確認できた銘柄には強い買いが入っており、上方修正と増配を発表したオンワードHDがストップ高。1Q大幅増益のわらべや日洋が急騰した。直近上場のエアロエッジがCEOの日経CNBC出演が刺激材料となって10.6%高と値を飛ばした。

 一方、米長期金利が上昇する中でもドル高(円安)には一服感が出てきたことから、ホンダやSUBARUなど自動車株が強めの下落。三井不動産や三菱地所など金利上昇が事業環境にアゲインストとなる不動産株が弱かった。決算が市場の期待に届かなかったウェザーニューズや下方修正を発表したトーセが大幅安。上期が営業減益のOSGが5%を超える下落となり、機械株全般に警戒売りが広がった。

 本日、グロース市場に新規上場したグリッドは、買いが殺到して初値は持ち越しとなった。

 6日の米国市場で10年債利回りは4%台に乗せた。4%台というのは株式を見る上では危険水域で、来週は4%より上が定着してしまうのか、それともこの近辺で上昇一服となるかが大きく注目される。ただ、米長期金利の上昇が止まったとしても、次回FOMC(7/25~26)辺りまではグロース株を買いづらい状況が続くと考える。また、ドル円は米長期金利の一段の上昇に対して、ドル高(円安)とはならなかった。これに関しては、市場がリスクオフに傾きかけたことが影響している可能性がある。来週も米国の長期金利動向には気を揉むことになるだろうが、米金利の上昇が一服した場合には、円安にも一服感が出てくると思われる。そして、米金利上昇が続いたとしてもグローバル市場がリスクオンでない場合には、円安にはブレーキがかかる可能性がある。米長期金利の動向とともに、ドル円の動向にも注意を払っておく必要がある。


【来週の見通し】
 不安定な展開か。米国の長期金利が上昇傾向にあり、米国動向に神経質となる日が続くと思われる。12日に発表される米6月消費者物価指数(CPI)が、株高となるか株安となるかのカギを握る。米国では物価指標はピークアウト傾向にある。同指標がインフレ高進に対する過度な警戒を和らげ、米長期金利の上昇にブレーキをかけてくれるようなら、直近の下げに対する押し目買いが活発になるだろう。一方、CPIがインフレへの警戒を高めてしまうようだと、リスクオフ色が強まる展開が想定される。ここ数カ月の米CPIからは前者の方が可能性が高いとみるが、後者の場合には指数は下に値幅が出る展開も想定される。国内では、小売などの決算発表が多くなる。米国の金融引き締めに対する警戒がくすぶり続けた場合でも、個別物色は活況が見込まれる。この点は日本株の下支え要因となるだろう。
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