東京為替見通し=ドル円、米指標に一喜一憂も底堅さは続く

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発した。米経済指標の弱い結果を受けて一時145.56円まで安値を更新したが、米株の上昇を背景としたリスクオンの円売りも支えに146円前半に切り返した。予想比上振れの8月独消費者物価指数(CPI)速報値を受けてユーロ買いが優勢となり、ユーロドルは1.0945ドルまで強含み、ユーロ円は159.76円と2008年8月以来15年ぶりの高値を更新した。

 ドル円は米経済指標の結果に一喜一憂しながらも底堅い動きが続いている。29日の7月米JOLTS求人件数が3カ月連続で減少し、約2年半ぶりの低水準になったことに続いて、昨日発表の8月ADP全米雇用報告も予想を下回る結果となり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げで引き締まっていた労働市場が緩み始めているとの見方が強まっている。本日のNY市場では米金融当局が注視するインフレ指標である米個人消費支出(PCE)コア価格指数が発表される。市場予想では7月も6月同様に前月比+0.2%が見込まれている。予想通りなら2カ月間の上昇としては20年末以来最も小幅となる。

 本日の東京市場では中国の8月製造業購買担当者景気指数(PMI)の発表が予定されている。同指標は5カ月連続で景気判断の分岐点とされる50を下回ると予想されているが、予想以上にさえない結果となれば、中国株の下落に伴いリスクオフの円買いが見られる可能性があるが、対人民元でドル買いも進む可能性があり、ドル円は引き続き下値の堅い動きが見込まれる。日銀が緩和策を変えない限り、円が主要通貨に対して売られやすい状況は続きそうだ。円キャリートレードの趨勢を示すとされる在日外銀の本支店勘定は、最新の6月時点で13兆円台と、昨年10月につけた15年ぶり高水準となる14兆円へ迫り、円売りに再び勢いのついていることが示されている。

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