株式明日の戦略―きょうは後場も強く大幅高、戻り売りはこなしたか

 31日の日経平均は大幅に4日続伸。終値は285円高の32619円。米国株高を受けて上昇スタート。ダウ平均が小幅高で終えたことから寄り付きは30円程度の上昇にとどまったが、すぐに上げ幅を3桁に広げた。米国で市場予想を下回る経済指標が相次いだことからインフレ長期化に対する警戒が和らぎ、幅広い業種に買いが入った。前場では節目の32500円を上回ってくると伸び悩んだ。しかし、後場に入ると上を試す流れとなり、32600円台に乗せて一時上げ幅を300円超に拡大。32700円手前で買い一巡感が出てきて終盤にかけては値を消したものの、200円を超える上昇で取引を終えた。一方、マザーズ指数は蚊帳の外に置かれており、前場で下げに転じると、後場は小安い水準でのもみ合いが続いた。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆2100億円。リバランス需要の発生日で商いは膨らんだ。業種別では輸送用機器、サービス、陸運などが強い上昇。下落は証券・商品先物、銀行、鉱業の3業種のみとなった。上方修正と増配を発表したエヌ・ピー・シー<6255.T>が買いを集めてストップ高。反面、八戸工場で発生したボイラー事故に関して、設備復旧には2カ月程度を見込んでいることを公表した三菱製紙<3864.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1244/値下がり513。2023年の世界生産が1000万台を超える計画と報じられたトヨタが大幅上昇。三菱商事が全市場の売買代金2位となる大商いで3%超上昇した。米長期金利に上昇一服感が出てきたことを好感して、グロースの代表格であるリクルートが年初来高値を更新。証券会社がレーティングを引き上げた牧野フライスや、自己株取得を発表したいちごが急伸した。

 一方、SBI証券と楽天証券が日本株の株式手数料を無料にするとのニュースを受けて、競争激化懸念から松井証券やマネックスGなど証券株の多くが下落。米長期が低下基調となることへの警戒から三菱UFJやみずほなど銀行株が軟調となった。リリースを材料にGNIが10%を超える下落となり、Abalanceがストップ安。GENDAやラボロAIなど上場して日が浅い銘柄が手じまい売りに押された。

 日経平均は4日続伸。きのうまでは後場に値を消す傾向があったが、きょうは大引け(32619円)が前引け(32517円)を上回った。きのうときょうは安値でも25日線(32260円、31日時点、以下同じ)を割り込んでおらず、この近辺での戻り売りをある程度こなした感がある。

 あすから9月相場に入るが、米国では8月の雇用統計が発表される。今週出てきた米国の経済指標の多くが市場予想を下回っており、雇用統計に関しても株高材料になることへの期待が高まっている。ただ、先週金曜25日の日経平均がジャクソンホール会合のパウエル議長講演を前に662円安となったことはまだ記憶に新しい。木曜まで4日続伸というのは先週と同じパターンでもあり、あすは利益確定やリスク回避を目的とした売りが出やすくなるだろう。今週、週間ではここまで約995円上昇している。先週も金曜の大幅安があっても週間では上昇しており、2週連続の上昇はほぼ確実だ。テクニカル面では13週線(32472円)が注目の水準。きょうの終値(32619円)時点では上回っているが、週末の時点で下回ってしまうと、強気に傾きかけた流れがニュートラルに引き戻される展開も想定される。下げても150円程度までにとどめられるかに注目したい。
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