株式明日の戦略―5連騰で週間では4桁の上昇、テクニカル好転で来週も基調は強いか

 9月に入り1日の日経平均は5日続伸。終値は91円高の32710円。米国株はまちまちで終えたが、ダウ平均の下落を嫌気して売りが先行。しかし、32500円を割り込んだところで寄り付き直後を安値に下げ止まり、開始早々にはプラス圏に浮上した。下値での買い意欲の強さを確認したことからその後も上昇が続き、11時近辺では上げ幅を200円超に広げて32800円台に到達。前場は高値圏で終えた。後場は前引けから若干水準を切り下げて始まった後は、32750円近辺でのもみ合いが長く続いた。引け間際に値を消して上げ幅を2桁に縮めており、大引けが後場の安値となった。主力大型株に資金が向かう中、新興グロース株は敬遠されており、マザーズ指数は終日マイナス圏で推移した。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆2800億円。業種別では全33業種中、32業種が上昇。中でも鉱業、海運、石油・石炭などの動きが良かった。一方、医薬品が下落したほか、ゴム製品やその他製品が相対的に見劣りする動きとなった。株主還元方針を見直し、配当見通しを引き上げた四電工<1939.T>が急騰。反面、グループ会社の役員が逮捕されたことを公表したアインホールディングス<9627.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1451/値下がり332。ソニーGが商いを伴って大幅上昇。上場来高値更新を日経新聞が大きく取り上げた日立や、配当に関するリリースが好感されたパナソニックなども強く、総合電機株の動きの良さが目立った。EV部品向けの新鋼板を開発したと報じられた神戸製鋼所が年初来高値を更新。INPEX、川崎汽船、三菱商事など市況関連が買いを集めた。プライムへの市場変更に伴い記念配当の実施を決定したI-neが急伸。23.8期の見通しを引き上げたポエックがストップ高となった。

 半面、ディスコ、ソシオネクスト、アドバンテスト、東京エレクトロンなど半導体株が軟調。円安一服が警戒されたか、三菱自、日産自など自動車株や、横浜ゴム、住友ゴムなどタイヤ株の一角が売りに押された。メルカリが戻り一服で3%を超える下落。日経平均が取引終盤にかけて萎む中、寄与度の大きいファーストリテイリングとソフトバンクGが、指数と歩調を合わせて下げ足を強めた。

 TOPIXが年初来高値を更新した。直近で高値を更新したのが8月1日で、8月は月間で日経平均は下落した一方、TOPIXは小幅ながらプラスを確保している。7月以降、頭打ち感が出てきているようにも見える日本株にとって、TOPIXの強い基調が継続していることは先行きに期待が持てる要素となる。9月はこの動きに日経平均がキャッチアップできるかが焦点となる。それができるかに関しては、東京エレクトロン<8035.T>やアドバンテスト<6857.T>など主力半導体株のほか、きょうも奇妙な動きを見せたファーストリテイリング<9983.T>やソフトバンクG<9984.T>の動向がカギを握ることになるだろう。


【来週の見通し】
 概ね堅調と予想する。日経平均は今週、テクニカルの節目である25日線や13週線を超えてきた。TOPIXは年初来高値を更新している。来週はSQ週ではあるものの、日米ともマクロ、ミクロの両面で目立った材料に乏しい。それだけに、今週強い動きが見られたことの余韻が来週にも継続すると考える。材料に乏しいことは売る理由がないと好意的に受け止められ、個別に買えるものを探す動きが活発となるだろう。なお、米国は月曜4日がレーバーデーにより休場で、東京市場では週明けに米雇用統計の結果を消化する。最近は米株休場に対応する日(来週であれば5日火曜日)に無駄に値幅が出ることも多いだけに、週前半の指数の値動きが不安定となりやすい点には留意しておきたい。
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