週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、利上げサイクル終了の思惑も

◆豪ドル、政策金利は据え置きも利上げサイクル終了の思惑台頭
◆RBA、ロウ総裁任期満了で退任、ブロック新体制へ移行
◆ZAR、過去最大規模の停電が重し

予想レンジ
豪ドル円 92.00-96.00円
南ア・ランド円 7.40-7.90円

9月11日週の展望
 豪ドルは上値の重い展開となりそうだ。豪準備銀行(RBA)は5日に開催された理事会で政策金利を市場予想通り4.10%に据え置いた。声明文でも「金融政策の幾分かの引き締めが必要になるかもしれない」などの見解を示すなど前回から大きな変化は見られなかった。

 もっとも、これで3会合連続での金利据え置きとなったため、市場では「RBAの金融引き締めサイクルがすでに終了した」との思惑が徐々に広がりつつある。実際、短期金融市場ではあと1回分の追加利上げも織り込んでおらず、来年以降に利下げに転じると見込んでいるようだ。それに伴って豪ドルは対ドルを中心に上値の重い動きとなっている。来週公表の8月米消費者物価指数(CPI)などを受けて米金利上昇とドル高が進めば、豪ドルの下値リスクも一段と高まるだろう。

 なお、ロウRBA総裁は17日に任期満了となり、翌18日からブロック副総裁が新たに総裁に就任する。来月の理事会ではブロック新体制の下で金融政策が決定される。ブロック副総裁は先月、「インフレ抑制のために金利を再び引き上げる必要があるかもしれないが、政策立案者はデータを注意深く見ており、当面は月ごとに判断することになる」との見解を示しており、大きな政策転換が図られる兆しはないようだ。

 来週は12日に9月ウエストパック消費者信頼感指数や8月NAB企業景況感指数、14日に8月雇用統計の発表が予定されている。RBAは声明文の中で「金融政策の決定を下す際にインフレと労働市場の見通しに引き続き細心の注意を払う」としており、特に雇用統計の動向には注意が必要となる。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はさえない動きとなりそうだ。国営電力会社エスコムは5日に電力負荷制限をステージ6に引き上げることを発表。同日には過去最大規模の停電に見舞われたほか、最大都市ヨハネスブルクでは電力故障に対する処置が全く追いついていないなど、電力網が崩壊の危機にさらされている。

 電力制限は南ア経済を押し下げる要因となる可能性が高く、国内のディーゼル・ガソリン価格基準値が上昇したことによるインフレ懸念も相場の重しとして意識されるだろう。なお、来週は南アフリカから目立った経済指標の発表などは予定されていない。

9月4日週の回顧
 豪ドルは対ドルを中心に弱含み。5日のRBA金融政策公表後には全般に豪ドル売りの動きが進んだほか、米金利の上昇を手掛かりにドルが全面高となった影響を受けた。売り一巡後も戻りの鈍い動きが続いている。

 ZARもさえない動きとなった。米金利の上昇によるドル買い・ZAR売りに加え、5日に発生した南アフリカで過去最大規模の停電も相場の重しになった。景気減速懸念が高まる中で同国からの資金流出が進み、対ドルでは週を通じて売りの流れが目立った。(了)
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