NY為替見通し=注目の米CPI発表、まずは予想比の強弱に反応か

 NYタイムは、今週の注目指標である8月米消費者物価指数(CPI)が発表となる。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長ほか連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが「データ次第」とする米金融政策の行方を左右する重要な材料となる。

 米政策金利の見通しについては、来週のFOMC会合については据え置きとの予想だが、以降の年内会合における利上げの有無や利下げへ転じる時期について思惑が交錯している。見方が半々に分かれるような状態であるため、指標結果の強弱によって当てが外れた向きの反対売買で相応の値動きが生じるだろう。

 今夜の8月米CPIの市場予想はヘッドラインの総合指数が前月比+0.6%、前年比+3.6%と、それぞれ7月の+0.2%、+3.2%より伸びが加速するとの見方。一部産油国の減産などを受けて底堅く推移した原油価格の動向を反映していると見込んだ数字だろう。

 一方、FOMCがより重要視する変動の大きな食品とエネルギーを除いたコア指数の予想は足もとの加速度を示す前月比は3カ月連続で+0.2%にとどまり、前年比は+4.3%と、7月の+4.7%より伸びを鈍化させるとの見方。インフレの落ち着きを見込んでいる。

 米景況の強弱に配慮して金利を据え置くとの見方が浮上しているものの、依然としてインフレ動向に神経質になっている市場は予想比の強弱にまず反応しそうだ。強い結果なら7・8日につけた年初来高値147.87円の更新もあるだろう。

 その後はインフレのトレンドを総合判断して見直しの売買を入れたり、米金利の上下に反応した株価動向などリスクセンチメントに見合った為替の適正水準を探ったりすることになるか。

 難しいのは米金利の上昇による景気への悪影響を回避すべきとの見方と、企業関係者がデメリットとして最も懸念しているインフレを抑えるためにも適正な利上げは必要との見方の分岐点を探ること。ただ、それは単月の指標の強弱だけで探れない問題かもしれない。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、2022年11月4日高値148.40円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは、日足一目均衡表・転換線146.16円。

(関口)
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